奪われし未来
シーア・コルボーン ジョン・ピーターソン・マイヤーズ ダイアン・ダマノスキ 翔泳社
人類の幸福のために、これまで様々な化学物質が作られてきました。
例えば、この本に取り上げられているPCBは電気器具の絶縁のために、DESは女性ホルモンのレベルを高め、お産の調整をするために、DDTは強力な殺虫剤として。
しかし、これらの化学物質はやがてホルモン撹乱物質と呼ばれるようになります。正常なホルモンにとって代わり、異常なホルモンの働きし、その結果、流産・早産・新生児の死亡・異常成長・不妊など、重大な問題を引き起こすことが分かってきました。
日本でも一時期、環境ホルモンという名前で問題提起されましたが、今はすっかり忘れ去られてしまいました。
確かにPCB・DES・DDTなどは現在使用が禁止されているようですが、ビスフェノールAなどはポリカーボネートの食器や缶の内側のコーティングから溶け出したりします。
現在使用が許可されている化学物質は、少量であれば摂取しても問題無いとされているのでしょうが、蓄積されないという論もあればそのまた逆もあり、また、問題が明確になるのに時間がかかるというのもこれらの化学物質の特徴のようです。また、この影響が及ぶのは人間だけでなく、自然界にばらまかれて様々な動物に広がり、世界中に広がってしまうという危険性もはらんでいます。
まず何よりも、こうした物質は極力避けるべきだと思うのです。知らない間にじわじわと蝕まれ、障害が顕著になってからではもう遅い。
やがて子孫が途絶えるかもしれないというのもあながち間違いではないかもしれません。
2011-7-20
カテゴリー:科学技術/世界の社会問題