#110
【読書】ハチはなぜ大量死したのか
ローワン・ジェイコブセン 文藝春秋
私たちの毎日食べている食物には、蜂による受粉のおかげで収穫があるものが多くあります。その、働き者の蜂が近頃少なくなったという話、聞いたことがあるでしょう。
諸説ありますが未だにはっきりした原因も分からず蜂が大量消滅しているのですが、その原因を突き止めるべく、様々な原因を追っていったのが本書です。
昔、『悪魔の新・農薬「ネオニコチノイド」―ミツバチが消えた「沈黙の夏』という本を読んだことがあって、その本では農薬に含まれるネオニコチノイドが蜂の神経を麻痺させてしまうのが原因ではないかというようなことを書いていましたが、ここのところのニュースでは他にも原因があるようです。
この本の著者ジェイコブスさんがいろいろあたりをつけたところ、その原因と思われる様々な現象が候補にあがりました。蜂を殺すダニ、電磁波、遺伝子組み換え作物、地球温暖化、ウィルス・・・
そしてジェイコブスさんは、実際にとある農場の蜂の巣箱を調べてみます。
そこから浮かび上がるのは、人間の経済活動に都合のいいようにシステム化され、効率第一で酷使される蜂たちの現状。蜂たちがタダ同然で働いてくれることをいいことに蜂のことを考えずに酷使したツケが私たちに回ってきたのでしょうか。
問題の追及だけでなく、蜂の生態や特性にも解説を多く割き、蜂というものがどういうものがが分かりやすく説明しているところに好感を持ちました。
2012-3-3
カテゴリー:食と農/科学技術/世界の社会問題