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#123

【読書】告発・電磁波公害

松本 健造 緑風出版 (2007)

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 昨年、WHOが、携帯電話の電磁波と発がん性の関連に可能性があると発表しましたが、さほど話題にならなかったようです。
 電磁波による健康への影響は、送電線をはじめ、電子レンジ、IH調理器、携帯電話、最近では無線LANについてもその疑いが持たれていますが、この本では、電磁波が原因とみられながら生活に困難をきたした例をとりあげており、その内容はすさまじいものです。

 購入したマンションに住んでいるうちに健康を害し、調べたら階下に電気室があった事例、高圧送電線の真下にあった家を移動させた事例、携帯電話の中継局が出来てその周辺の住民が健康を害した事例、図書館の盗難防止装置が原因で職員が次々と発病した事例、などなど。
 これらの例では住民が電力会社に改善を訴えますが、ことごとく却下されます。電磁波が基準値以下である、関連性は無い、などがその理由。聞く耳を持たずといった対応も多かったようです。

 それはそうと、もっと驚いたのは、この本の後半部分に書かれた、ある研究の顛末。
 それは電磁波と小児白血病の関連性を示す疫学調査でした。巨額な研究費を投じて行われたこの研究、研究の延長がなされることなく結局ボツになりました。文科省がその結果に最低評価を与えたんですね。しかしこの研究、意外なところで日の目を見ることになります。その後国際的なガン専門誌に掲載され、高い評価を受け、その後WHOの新環境保健基準にも影響を与えることになるのです。

 政府と電力会社がグルになって、消費者や住民を軽視していたのは何も原発の件だけではない、電磁波についても同じことをしていたのか、と思いました。
 この国はどこまで国民を愚弄するのでしょうか。この本を読んでいると、本当にそう思います。

 新しいところに移り住んでから、あるいは現在住んでいるところの近くに電気関係の施設や設備ができてから、慢性的な倦怠感・めまい・頭痛・吐き気などの症状が出たら一度電磁波を疑ってみる必要がありそうです。

2012-3-29

カテゴリー:科学技術日本の社会問題
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