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#140

【読書】あなたの中の異常心理

岡田 尊司 幻冬舎

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 ここで言う異常心理とは、普通の生活では表に出て来ない、あるいは出ないようにしている「悪いことをしたい」という心理のことですね。
 悪いことと言っても、犯罪のように人に迷惑をかけるものから、他人は何とも思っていないのに自分が「悪いこと」と思い込んでいるもの、あるいは罪悪感を感じてしまうような密かな「癖」まで様々ですが、岡田さんは人間なら誰でもそのような「異常心理」を持っているものだと述べています。

 異常心理がエスカレートすると現実に犯罪へと発展することもあります。いじめ、DV、虐待。
 あるいは自傷など、自分自身へ向けられるケースもあります。

 この本では、歴史上に名を残す有名人に見られた「異常な行動」、また、岡田さんが接してきた一般の人たちの事例を取り上げ、そのようなことが起きる背景について解き明かしてくれます。
 これを読んでいくと、ここに挙げられるほどのことはしないまでも、この中のどれかに当てはまるような心理的な傾向が、私自身にも見られることに気がつき、決してこのようなことは人ごとではないのだと思いました。

 これらのことに共通する原因。それはどうも、「子どもの頃の愛情不足」にあるようです。
 子どもの頃に注がれる愛情の大切さについては様々なところで語られているところですが、この本を読むと、親が子に愛情を注いでいると思っていたことでも、子どもにとっては愛情ではないことが多々あるのだということが分かりました。

 世の中で起こる犯罪、その多くの原因は突き詰めるとほとんどはそこにつながるのではないかとも思いました。この言葉をもって。

 「万引きであれ、依存症であれ、暴力や虐待であれ、自己目的化した悪循環にとらわれている人も、自分を受け止めてくれ、何でも話すことができる存在に支えられ、愛情で満たされることによって、自己目的化した行動に耽ることがもはや虚しいと感じ、相互的な関係に、もっと大きな喜びを見いだすようになる。」

2012-5-11

カテゴリー:思想・哲学・心理

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