#147
【読書】栽培植物と農耕の起源
中尾 佐助 岩波書店
今私たちが普通に食べている食べ物、例えばご飯だったりパンだったり、そいう当たり前のように食べている食べ物の原料となる、例えばお米や小麦などは、私たちの祖先が何千年もかけて育て子孫に受け継いでいった賜物なんですね。
そんな、人類の食料の栽培の歴史や文化としての農耕についてまとめた本です。
中尾さんは、世界の農耕文化を大きく4つの文化に分けて論じています。
東南アジアや太平洋を中心とした根栽農耕文化、西アジアやアフリカを中心としたサバンナ農耕文化、ヨーロッパを中心とした地中海農耕文化、そしてアメリカ大陸を中心とした新大陸農耕文化。
それぞれの地域で育まれながらも、他の文明地域に流れて取り込まれたりして複雑な発展をとげていきます。私たちが馴染み深い作物も、そうでないものも、いろいろな過程を経て受け継がれていく様がなかなか面白いです。
例えば、私たち日本の農耕文化はここではサバンナ農耕文化に含めており、その発展系として稲作にたどり着くようですが、その流れが面白い。
穀類というのは普通の動物は食べないもので、それ故に豊富に手に入る様々な穀類である雑穀といわれるものを利用したところからこの文化は始まり、また豆の利用にいたってはそれを煮るという調理法や鍋という道具をつくるという高度な知恵があったからこそ食べる文化ができたようです。
そう考えると、今私たちが好きな作物を調理して食べることができるのもの、先人たちの長年の様々な試行錯誤があったからこそなわけです。
ありがたいことです。
2012-6-5
カテゴリー:食と農/世界の文化と歴史