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#151

【読書】木に学べ 法隆寺・薬師寺の美

西岡 常一 小学館

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 久しぶりにスコーンと抜けるような、気持のいい本を読みました。

 この本、元はもう20年以上も前に出版された本で、宮大工の棟梁の西岡さんという有名な方のお話をまとめたものです。
 この本が出たころ、私は学生で建築の勉強なんぞしていたのですが、恥ずかしながらこの本は初めて読みました。伝統的な寺社建築の知恵や技術が宮大工の生の声としてぎっしりと詰まっている。本当に貴重な本ではないでしょうか。

 西岡さん、法隆寺の修理や薬師寺の再建に関わった人で、何百年も建ち続けている古い建物を知り尽くしています。木の性質から建物の構造に至るまですべて体を通して頭に入ってますから、言葉が違う。力強く、明快で、まったくゆるぎがない。

 だから、国が関わる新しい仕事を請け負う時、検討委員会か何かで学者としばしば対立するのですが、西岡さんは千年以上の歴史を持つ建築の知恵を通して語ってますから、学者さんの数十年の研究から得た論理が色あせて見えてしまいます。

 それよりも何よりも、仕事に対して取り組む姿勢が違います。建てるものが寺社建築というものである以上、神道や仏教を理解し、それらにふさわしい心構えを持って生活し、生きる。
 宮大工に限らず、仕事が生き方そのものという、昔は多かれ少なかれ当たり前だった仕事へのこのような姿勢を、この先受け継いでいける人はごくわずかでしょうが、そうではあっても学ぶべきものは多く、何らかの形で受け継がれたらいいなあと思いました。

2012-6-11

カテゴリー:建築・造園伝統技術
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