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#154

【読書】ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」

高瀬 毅 平凡社

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 世界で原爆を落とされたたった二つの都市、広島と長崎。
 二度とこのようなことが起こらないようにと、広島はボロボロになった産業奨励館をそのシンボルとして残し、原爆ドームと呼ばれるようになりました。

 では、長崎は?
 広島には原爆ドームがあるのに長崎には同様のものがありませんね。

 実は、爆心からわずか500m、レンガ造りの壁がわずかに残った浦上天主堂を残そうという動きが終戦直後にあったそうです。しかしそれは、ある出来事がきっかけで立ち消えとなってしまいます。
 それは、アメリカ・セントポール市からの姉妹都市提携の打診、そして当時の市長のアメリカへの長期の招待。
 出国前は浦上天主堂を残すことに積極的だった市長は、アメリカからの帰国後、残すことに消極的になり、結局取り壊すことになったそうです。

 アメリカ滞在中、市長はセントポール市で大歓迎を受け、その他アメリカのあちこちを回ったそうです。高瀬さんは市長滞在中のアメリカの動きをいろいろ調べます。

 キリスト教の国であるアメリカが、日本のキリスト教・カトリックの聖地ともされる浦上に原爆を落としたという痕跡を消し去りたのだろうという推測をしますが、謎のまま。

 しかし、たぶんそうだったのでしょうね。原爆で廃墟となったまま残る教会の存在を、多くがクリスチャンであるアメリカ国民に知られたくはないでしょうから。

 アメリカという国の性格を考えるとなるほどとつながるし、カトリック教会側が浦上に新しい教会堂を建設したかったから、という話も有力ですが、それも含めてアメリカ側が日本のカトリック教会側に手を回していたのでは?とか、もし当時の浦上天主堂が長崎の原爆ドームとして残ったら世界、特にアメリカの様子は今とは異なったのだろうか?といろいろ想像してしまいます。

2012-6-19

カテゴリー:原爆・原発・原子力日本の文化と歴史
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