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#70

発達障害ソーシャルワーカーの先生が教えてくれた「子どもとのかかわり方」

 半月ほど前、里親研修がありまして、特別講演として「親と子のいい関係づくり」というタイトルで、発達障害の研究やカウンセリングをされているまめの木クリニック・藤井和子先生のお話がありました。

 藤井さんは最初児童相談所に20年ほどいらっしゃったそうで、その後国立精神保健研究所に移られて研究をされました。

 「発達障害」とは何らかの原因で脳の発達に支障が出ることで、脳の機能が一般の働き方とちょっと違うものを持っている子が多く、藤井さんは「凸凹だらけの発達」とおっしゃってました。
 例えば相手の言葉を文字通り受け取ったり、会話がだんだんずれていったり、相手の立場に立つのが苦手だったり、忘れっぽかったりと、(その子によっていろいろですが)発達障害の子どもを育てるというのは何かと大変なことのようで、藤井さんは多くの発達障害の子どもたちとその親を見てきましたが、子どもを何とかしたいという気持のあまりに、衝動をコントロールするのが下手な親は虐待に走りやすいと言っておられました。
 ですから発達障害の子どもは親だけで育てるのは大変なので、周りのサポートが重要になるそうです。
 でも一見普通の子に見えることも多く、私の知っている方にも発達障害のお子さんを育てていらっしゃる方がいらっしゃいますが、ちょっと見ただけではいたって普通なので、その方がおっしゃって初めて「そうなの?」と思ったくらいです。

 発達障害の子どもたちは、普通の育て方では育てられない。親が、例えば子どもに何かをしてほしいとき、この子は分かっているからできるだろう、というのは通用せず、子どもは分かっていることと、今やらなければいけないと思うことが結びつかないらしいのです。何でやらないの、と叱られる。でも本人はなぜ怒られているのかが分からない。そのうち親にダメダメ言われ、本人も「自分はダメな人間なんだ」と思ってやる気をなくすという二次障害が起こる。

 これには、親が「正しい日本語を使っていない」ことにも原因があるのだそうです。何回言っても分からないのは、親が分かる言い方をしていないから。
 子どもは抽象的な言い方が苦手。ちゃんと具体的に話してあげる。「お風呂見てきて」と言っても、お風呂を見てお湯を止めなかったりする。お湯を止めてと言わなくてはいけない。
 背中から声をかけられるのも苦手。その時は正面から言う。注目されると分かる。

 まあでも、このようなことは程度の差さえあれ、普通に育っている子どもにだって見られることですよね。うちのムスメだって似たようなことをときどきやってる。(考えてみたらムスメだけでなくカミさんも自分も似たようなことやってる。)

 だから、子どもをよく観察するのだそうです。行動に焦点を当てて教えるのが効果的とのこと。



 藤井さんがカウンセリングで教えている、子どもと接する上手な方法を教えてくれました。
それは、「子どもの行動を3つに分ける」こと。
一つ目は、増やしたい、好ましい行動。たとえば、挨拶ができるとか、ありがとうと言えるとか。
二つ目は、減らしたい、好ましくない行動。たとえば、かんしゃくを起こすとか、泣きわめくとか、口答えするとか。
三つ目は、許しがたい、してはいけない行動。たとえば、友達を傷つけるとか、何かを壊すとか。

そして、それぞれ3つの行動にはそれぞれの対応の仕方があります。
子どもが、増やしたい、好ましい行動をしたら、徹底的にほめる。認める。
子どもが、減らしたい、好ましくない行動をしたら、注目しない、無視する。そして待って、やめたらほめる。もし子どもが際限なくその行動をするようであれば、正面で向き合って言う。そして、やめたらほめる。
子どもが、許しがたい、してはいけない行動をしたら、警告する。それで、やめたらほめる。やめなかったらペナルティを与える。

 ペナルティにもやり方があります。
 たとえば、積木を投げたら、今度やったら10分とりあげるよ、と言います。またやったら、また○○分とりあげるよ、と言う。
 子どもを痛い目に合わせたり、恥ずかしい目に合わせたり、不安にさせたりしてコントロールするのではなく、自分が守らなかったために年齢相応の責任をとらせること、それがペナルティです、とおっしゃってました。

 それから、子どもというのは急に何かを言われるのが苦手なようですね。ですから、予告してあげるのがいいそうです。〇〇が終わったら〇〇するからね、とか、少しの待ち時間を与えることで、気持の切り替えができるのだそうです。

 それから、25%ルール。25%でもその子にいいところがあったらほめてあげてください、と。全部できたらではなくて、少しでもできたらほめる。

 配布された資料に載っていたこの絵。

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(出典:ADHDのペアレントトレーニング-むずかしい子にやさしい子育て)

 お出かけするから着替えなさい、と言って、しばらくして行ってみたらこんな状態でした。
 さて、何とほめますか。

 ・・・・

 これを見て、研修に出ていた皆が苦笑。
 これ、ほめるの?と皆が思ったはずです。私なら「まだ終わってなの?早く着替えないと置いていくよ。」と言ってしまうでしょう。

 でも藤井さんは言いました。

 「靴下、片方はけたね」と言えますね。「パンツはけてるんだね」と言えますね。
 出来てることだけほめましょう。
 服を着替えたら、「パジャマ脱げたね」「服着れたね」と2回ほめられますね。

 ちょっと狐につままれたような気分になりましたけど、そうか、ほめる部分を見つけてあげるのが大事なんだな、と思いました。慣れないと難しいですが、少しづつやっていけば、子どもも親も、きっと変わりますね。

 それから、うちはまだ先ですが、思春期のこと。
 思春期になったら問題を起こします。そしたらチャンス、彼らの本音が出ます。必ず何かしら問題を起こすと思っていれば、その時なんとか解決できる。問題が起きたら、とにかく話を聞いてください(聞くだけ)。言い聞かせてはいけない。小さい時から自尊心を育てることで、将来の問題を抑えることができますという、アドバイスをいただきました。

 藤井さんの話、今回は里親相手にお話している部分もあるので「うちはどうかな?」と違和感感じる方もいらっしゃるかもしれませんけど、でも知っておくにこしたことはないですね。

 とてもためになる話だったので紹介しました.

 私も、もっと子どもを観察するようにしたいと思います。自分のしていることをなるべく中断してでも、子どもの話に耳を傾けたいと思います。

 藤井さんが講演冒頭でおっしゃった、印象的だった言葉。
 「うまく子どもを育てられなくても、子どものせいにしないでください。血がつながっていないのだから、うまく育てられなくてあたりまえ。もしうまく育てられなかったら謝ることです。子どもは謝る大人を尊敬します。」

 ありがたいお言葉。

2012-12-18

カテゴリー:こどもとともに

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