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#98

生き残った製図板

2013-4-22

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 パソコンデスクとして使われている、この台。

 実は製図板です。

 これはカミさんが使っていたもの。

 カミさんは学生の頃デザインを学んでおり、学校で買わされたと言っておりました。 

 私も学生のころ、これとは違うタイプですが、建築の勉強をするために購入しました。

 当時、建築やら土木やら機械やら、そっちの勉強をする人は、だいたいの人が製図板を購入してました。
 買わないで学校の教室のものを使用するという手もありますが、時間に制約がありますし、購入すれば自宅で課題をこなすことができますので、私のまわりの建築を勉強している人はほぼ全員が購入していたのではないでしょうか。 



 で、いちばん安い製図板が、最初の写真にあるような、木の板のタイプ。
 テーブルや作業台の上に載せて使います。図面はテープを四隅に貼り、板に留めてました。
 これで図面を引くにはT定規というのを使用します。

 こんなものですね。↓
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 Tの形の、短い部分を製図板の側面に当てて、長い定規部分を上下にスライドすれば、水平に長い線が引けます。

 で、垂直や斜めの線を引くには、このT定規の上に三角定規や自由勾配定規を載せて線を引くのです。

 自由勾配定規↓
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 しかし、細かい図面を引くのにこれを使いこなすのはなかなかしんどい。



 私の同級生たちが購入した製図板で多かったのが、「平行定規」と「ドラフター」という2種類の製図板。
 板に足が付いていたので「製図台」と呼んでました。

 平行定規というのは、板の側面にレールが付いており、あらかじめ製図板の上を上下にスライドする水平の定規が備え付けられたもの。
 製図板がマグネットになっており、図面用のスチールの薄い板を図面の上に載せるだけで図面が留りました。

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 そしてドラフターというのは、上部にレールがついており、アームが水平にスライドしますが、アームもレールになっており、自由に角度が変えられる定規がアームのレールで上下にスライドすることができます。
 つまり、三角定規や自由勾配定規不要の、まさに「自由に線が引ける」優れもの。
 これも板はマグネット。

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 しかし、この「平行定規」や「ドラフター」というのがなかなかお値段が張るのです。

 確か当時、私の記憶違いでなければ、平行定規で8〜10万円、ドラフターだと12〜13万くらいしたと思います。

 業者さんも売り込みが上手ですから、「こんな機能が付いている」とか「こんなところが優れている」とか言われると、(親の金だと思って)学生は性能のいい製図台に飛びついちゃうわけです。

 私は平行定規を購入しましたが、しかしこれを毎日使うわけでもなく(卒業設計の時はさすがにほぼ毎日使いましたが)、その他は製図の課題があるときだけ。
 その頃、学校の近くに狭い部屋を借りて一人暮らしをしてましたが、この「製図台」というのが、これがまた場所をとるのですよ。一応使わない時は板をなるべく垂直になるよう角度を変えれば少しは引っ込むのですが、それでも大きい。

 こんな「製図台」を学生時代に使っていましたが、設計事務所(建築ではなく造園の事務所でしたが)で働き始めると、仕事場には製図台がありますし、学生のころ使っていた平行定規の出番は無く、無用の長物となるばかり。

 そうしているうちに世の中ではいつの間にかIT化が進み、就職して3年もすると会社にCAD(コンピューターで設計をするシステム)が導入され、製図台はどんどん姿を消していくのでした。

 私の製図台も、ろくに使わないままお釈迦にするのはもったいない、とばかり、定規を外してテーブルや花鉢台としての利用も考えましたが、高さが高すぎ、板が大きすぎ、分解するにも接続用の突起やらでうまく使うのは難しそうで、他に転用できず泣く泣く処分。もう10年も前のこと。

 一方、カミさんが持ってきた一番シンプルな「木の製図板」はパソコンの台となって第二の人生を歩んでいます。

 技術の向上がかえってモノの寿命を短くしてしまうという、皮肉な現象。

 シンプルなものほど長持ちしやすいものです。



カテゴリー:つぶやき

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