#117
テント山行、復活。(燕岳〜常念岳〜蝶ヶ岳)
2013-10-9
9月末の連休、山歩きに。今回は久しぶりのテント泊です。
カミさんと結婚前に、白馬岳に行った時がテント泊の最後。何と十数年ぶりです。
約20年前、山歩きを始めたころは時々テントを持っていったのですが、仕事が忙しくなるにつれ疲労が蓄積し、山を歩くにも重い荷物が体力的にもつらくなってきまして、白馬岳に行った時に「もうテントは無理だ・・・」と思ったのでした。
その後、山歩きにテントを持っていくことはありませんでした。
テント山行は、テントの他に食料とか寝袋とか、小屋泊まりで必要なものよりも余分に持っていかなくてはなりません(私たちは小屋泊まりでも食料と寝袋は持っていってましたが)。
テントも出発前に準備するときは気にならない重さなんですが、これを背負って登りの山道を何時間も歩くときは少しの増量でも響きます。肩から背中から腰から足にまでずっしりきて、なかなか足が上がりません。途中で食べたお菓子の袋さえも途中で置いていきたいくらい。1グラムでも2グラムでも軽くしたい、そんな気持になるのです。
しかし、宿泊地に着いて張ったテントは、それはもう快適。(ただし、雨が降らなければ。)
小屋に泊まるのも気楽でいいのですが、登山シーズンで小屋が込んでいると寝るときもギュウギュウだしいろいろ他の人に気をかわなければならないし他の人の話し声が結構気になるし。
テントは、自分だけのスペースを十分に確保できますし、他の人に気にせず何でもできます。テントを張る場所も眺めのいい場所が確保できれば、景色を見ながらくつろぐこともできます。
夜中にふと起きてちょっとテントから顔を出せば、空は一面の星空。その星の数は、街中で見ることができるのとは比較できないほど。細かい光の点が夜空に、目が回りそうなほど無数にちりばめられています。
実は最後のテント山行で白馬岳に行った頃は、仕事の忙しさのピークで、毎日終電で帰るか会社に泊まるか、のような生活をしてました。
そのうち体調を崩し、仕事を辞めざるを得なくなるのですが、今思うと、あのころは本当に体力的にもきつい時期でした。
山歩きにはコースタイムというのがあって、普通の健脚者であればこれくらいで歩けます、というような所要時間がガイドブックに載っているのですが、その時はコースタイムの約1.5倍以上の時間がかかっていたのです。
仕事をやめた後はうつ病にも悩まされ、以前記事「鬱(うつ)とマクロビオティック」にも書きましたけれども、健康的には最悪の時でしたが、食事を変えることで何とかうつも克服し、体力も徐々に回復しつつありました。
その後も小屋泊まりで山歩きは続けていましたが、コースタイムの1.5倍かけて登っていたものが、年が経つにつれ1.2倍になり、最近はコースタイムとほぼ同じくらいで登ることができるようになりました。明らかに基礎体力が戻ってきたのを実感出来るようになったのです。
そういうこともあり、体力的にも自信がついてきたので、久しぶりにテントも大丈夫かな?と思いまして、思い切って久々のテント山行となりました。
***
前置きはそれくらいにして、山に行く計画を立て始めたのが、出発の10日前。それも本当はスケジュールから計算して、思い立った日の週の週末に行くことを検討していたのですが、台風が近づいているとのことで、一週間延ばすことに。
しかしそれが結果的に天候にも恵まれたいい山歩きとなりました。
当初は新宿から夜行の快速「ムーンライト信州」に乗り、松本の少し先の穂高という駅で降りてそこから登山口までバスで行くつもりでした。
この快速が全席指定なので席を予約しなければなりません。ところが、みどりの窓口に行ってみると「申し訳ありません、満席です」と。
やはり。連休だしね・・・
仕方ないので新宿発で穂高でも降りられる夜行バスを調べてみると、それも満席。
一応、快速はキャンセル待ちにしたものの、ぎりぎりまで待つのも危険な気がしてきました。
そこで、あることを思いつきました。
昼行便の松本行きバスで松本まで行き、そこで快速に乗り換えればいい。
昼行便の松本行き最終はまだ空いてました。夜の10時半ころ新宿を出て、1時半ころ松本に到着。
そして快速は松本を4時半ころ通ります。この快速に乗る人はほとんどが山登りに行く人なので、だいたい山梨を過ぎた頃から席が空き始めるのは分かってました。
松本乗車で快速の座席予約を窓口でお願いしたところ、余裕で取れました!
*****
さて当日。
予定通り夜の10時半ころ新宿を出たバスは、1時半ころ松本に到着。乗っていたのはほとんど山ヤさんでしたが、バスを降りてからこの人たちは松本市内のどこかの宿に泊まるのかなと思いつつ、自分は駅で4時半の列車まで時間つぶししようと駅に向かいましたら、他の方たちも駅にやってまいりました。
駅に着いたら、すでに先客が。コンコースの隅っこで、既に寝袋に入って寝ている(これを駅寝といいます)人が数人いました。
松本駅は最近建て替えたらしく、新しい駅舎は広いコンコースが線路をまたぐ自由通路となっており、寝るところは選び放題。
でもこのコンコース、自動運転のエスカレーターに人が乗るたびにゴーっという音で動くので、気になってあまり良く眠れず。
4時には起きて寝床は撤収。
準備して列車に乗り込み、約20分。穂高駅で降りました。
ここから登山口のある中房温泉までバスなんですが、予想以上に山ヤさんが多く降りたせいか、バスが足りず、増発便を出す始末。結局予定より30分遅れで出発しました。
中房温泉に着きましたら、あまりの人の多さにびっくり。
この人たちがたむろっている間に、集団の後ろにならぬよう、準備もそこそこに登り始めたのでした。
目指す燕(つばくろ)岳までは登りっぱなし、急な山道の連続。
延々と急な道を歩き続け、まだかまだかーと思っていると、3時間くらいしてようやく視界が開けてくるようになってきました。
おお、いい眺めだ。・・・あれ?あそこにコンニチワって頭を出しているのは、槍ヶ岳?分かりやすい。
紅葉も始まってました。
彼方に山小屋(燕山荘)も見えてきました。
登り始めてから約4時間後。山の稜線に出ました。
燕岳付近では、様々な奇岩が多く見られます。
ひょっとして、槍ヶ岳に憧れてる?
まるで大海の荒波のようです。
これがイルカ岩。・・・おおっ、確かにイルカだ。
30分くらいで燕岳の頂上に着きました。
さて今日は、常念岳の手前、大天井岳まで行きます。
燕山荘まで来た道を戻り、そのまた向こうに見える尾根沿いを辿って行きます。
尾根歩きというのは本当に気持がいい。これのためにつらい山道も登ってこれるってものです。
どんどん先へ進みます。
ナナカマドが真っ赤になってました。
さて、尾根歩きもここまで。これからあの山、大天井岳に登ります。中央に山小屋が小さく見えました。
いやー、この大天井岳への登りがきつかった・・・午前中の燕岳までの登りが快調でしたが、そこで体力をずいぶんと使ってしまったのか、最後のこの大天井の登りはへとへとで・・・
あともう少し。振り返ってみたら、ここまで歩いてきた尾根筋がくっきりと。尾根を目で辿って右上の高いところに燕山荘が、そこからまた先の左上の方の尾根沿いに燕岳が。あんなところから来たんだなあ。
ようやく山小屋「大天荘」に到着。小屋の裏のテント場に設営します。
私もようやくテントを張りました。テントの出入り口からは少し穂高の山々も見えました。
*****
二日目。
山の朝は早いのです。朝の4時過ぎから、朝食の支度や山歩きの準備が始まります。
5時半過ぎ、日の出が見えました。
槍ヶ岳と穂高にも朝日が当たり始めました。
さて、出発。
再び、気持の良い尾根歩きです。山道を歩きながら右手には常に真っ正面を向いた槍ヶ岳や穂高連峰がその迫力のある山体を見せてくれます。
尾根歩きも終わり、これから常念岳の登りに入りますが、下の方に常念小屋が見えます。登る前にこれだけ下るのかー!常念岳の中腹あたりまで橋を架けて欲しい!
下の小屋までたどり着きました。まだ8時前だったかな?この小屋に泊まってまだ出かけていない人たちもいました。
さて、これから常念岳への登り道を一歩一歩登っていきます。
約1時間後、常念岳の頂上に到着!ここから見る穂高連峰と槍ヶ岳の見え方もいいですね。
ここから蝶ヶ岳へ向かって下り、しばらく尾根歩きが続きます。
ガス(霧)が出てきました。森林限界より下にまで下がった模様。しばらく森の中を上ったり下ったりします。
あの丘を越えたら、蝶ヶ岳ヒュッテに着きます。あと少し!
着いたらぐったり。2時には着いたのでさっさとテント張って、体のあちこちが痛いので昼寝で休息。夜も早々と就寝。
それにしても若い人たちが多くて(しかも女性も!)あちこち話が盛り上がっているのを聞いて、ここはキャンプ場か?と思いました。
時代は変わりましたね。
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3日目。
この日もまた、日の出を見ました。
ここで蝶ヶ岳や、今まで2日間旅のお供だった穂高連峰・槍ヶ岳とはさようなら。
ひたすらひたすら下りていきます。麓の徳沢まで約3時間、体力的にはラクですが、ずっとブレーキかけっ放しの膝がだんだんガタついてきます。
麓に近づくにつれて森が深くなっていきます。
お昼前に上高地に着きました。観光地ですから賑やかで観光客が多くてクラクラしますが、山帰りだとこういう所もホッとしますね。
それにしても、梓川はどこから見ても絵になります。
上高地からバスと電車で松本まで。
松本に着いたのが3時頃。松本→新宿のバスの予約を予めとっていたのですが、余裕を持って(余裕すぎた・・・)夜7時発のバスにしていたので時間が余ってしまいました。前の便のキャンセル待ちを狙っていたのですが、結局空きは出なさそうだったので、あきらめて当初の予定どおり、7時のバスに乗ることに。
バスに乗る前に時間つぶしで一人飲みに。
乗り遅れないように気をつけて。
最後にお茶漬けいただきましたが、信州ならではの「野沢菜」茶漬けです。
今回のルート
よろしければ他の写真も⇒[ギャラリー]燕岳〜常念岳〜蝶ヶ岳
カテゴリー:旅と山歩き