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#171

どうしても水筒が必要だった娘

2015-6-13

 その日、仕事から帰って玄関先まで近づいたら、激しい泣き声が。

 あー、あの強烈な泣き声はきっとうちの子だ、今日は何だ?

 と思いながらうちに入ると・・・



 娘が仰向けになって、両手両足を激しくばたつかせてます。

 イヤだイヤだー!
 お願いお願いー!

 と叫びながら泣きわめいてます。
 まるでマンガみたいです。

 どうしたの?と妻に聞いてみると、「H(娘)が学校に水筒を忘れた」と。
 これから暑くなりますから熱中症対策のため水筒を持ってきてください、と学校から言われているらしく、最近娘は大きめの水筒を学校に持っていっています。
 それを家に持ち帰るのを忘れたらしいのです。

 それで娘は妻に、水筒を学校から取ってきてくれ、と泣きながらお願いしていたのです。

 へ?そんなこと?と思い、娘に「お父さんの水筒貸してあげるよ」と言うと、



 「そしたら明日水筒2個になるジャン。ぜったい○○君に、なんで水筒2個あるの?って言われる!そんなの絶対ヤダ!」



 と泣きながら言うではないですか。

 ますます、へ?そんなこと?と思ってしまいましたが、まあ子どもってこんなつまらないことに異常にこだわったりするものですね。

 もう暗いし、先生もういないかもしれないし、学校も閉まってるかもよ、とか、水筒2個もあっていいでしょーって言ってやりな、と言いますが、彼女の頭の中には、



 学校で2個の水筒を友達に見られる → 友だちにからかわれる → 嫌な気分になる → それは嫌だ



 しかありません。

 もういいや。泣くだけ泣いたら諦めるだろう、もう外も暗いし。と、放っておきました。



 そしたらそのうち、妻が娘と話をしている声が聞こえてきました。

 見てみると、娘の前に座って、Hが今から学校に水筒を取りに行く、っていうのなら、お母さんもついていく。その代り、歩いていくこと。学校が閉まっていたら諦めること。いい?と話していました。

 その時、夜の7時過ぎ。外は雨です。

 私は、お?これから行くの?と思いました。

 娘はいやだいやだと言うだろう・・・と思っていたら、何と「じゃあ行く」と言うではありませんか。

 そして妻と娘の二人は、傘をさして夜の学校へ出かけていきました。

 いつもは歩いて片道20分以上かかりますから、どんなに早くたって往復40分。




 そしてとうに40分も過ぎ、どんどん時間も経ちますが、二人はなかなか帰ってきません。

 結局学校に入れなくて、水筒を持ち帰ることもできず、娘が泣きわめきながら妻ととぼとぼと歩いている姿を想像しました。



 迎えに行ったほうがいいだろうか?でも妻は携帯電話も置いて行っているし、鍵を持っていったかどうかも確認できない。もし通学路ではない道を帰ってきたら、すれ違いになっちゃうしな・・・

 とあれこれ考え、やっぱりうちで待っているのが一番確実かな、と思い待っていますと・・・



 突然「ただいま!」と娘の声が。


 見てみると、娘が明るい顔をして帰ってきました。




***




 妻に聞いてみましたら、教室は案の定、鍵がかかっていて入れず、職員室の方に行ったら教頭先生だけ残っていたそうです。

 そして教頭先生に話したそうです。
 クラス、名前、どうしたいのか。

 妻は自分からは言わないで、娘から言うように促したそうで、教頭先生も娘がなかなか言い出せないのをじっと待っててくださったそうです。

 そして教室の鍵を開けてもらい、無事娘は水筒を持ち帰ることができたのでした。


 あの、妻のが娘に寄り添い、一緒に雨のなか学校に向かう姿は、私には眩しく見えました。

 結局夕ご飯の時間は、娘がいつも寝る時間に近くなってしまいましたけれども、食卓は穏やかな空気に包まれました。




 理不尽な娘のワガママには違いないのですが、もう少し娘の希望に沿えるよう、私も一緒になって考えればよかった。

 まあこうやって、親も、夫婦でお互いに気づきあいながら、子どもとともに成長するものなのかもしれません。

カテゴリー:こどもとともに

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