【読書の時間】ヤンキー人類学 突破者たちの「アート」と表現

読書の時間#403

b0403-ヤンキー人類学

ヤンキー人類学 突破者たちの「アート」と表現

鞆の津ミュージアム 監修

フィルムアート社

 気がついたら、日本で「ヤンキー」と呼ばれる人たちは最近は目にすることが少なくなったように思います(もっとも、昔は「不良」と呼ばれていたような気がしますが)。私が中高生だった30年くらい前は、明らかにそうと分かる「ヤンキー」たちをよく目にしたものでした。

 ダボダボの学ランや特攻服、変わった髪型、長いマフラーで爆音を轟かせる派手なバイク。

 当時は(いや、この本を読むまで)キワモノとしか見ることができなかったヤンキーたちの「文化」ですが、不思議なことにこんなふうにマジメに取り上げてその「文化」について様々な角度から論じられると、一つの立派な「文化」であるとようやく改めて認識します。ヤンキーへの偏見がそういう見方を妨げていたのでしょうか。

 この本は鞆の津ミュージアムで行われた「ヤンキー人類学」展を書籍にまとめたものですが、この本に登場する、目が点になるような極端なデコレーションのバイク、トラックは、まさに職人技。それぞれの「伝統」をしっかり受け継ぎつつ、しかも自分なりの「オリジナリティ」を追及する先進性が見られます。素晴らしい芸術作品です。

 これらは「ヤンキー」の世界でも先駆的事例と思われますが、その背景にあるヤンキー文化の奥深さを感じました。

 ヤンキーの文化というのはそれはそれで完結した一つの世界だと思っていましたが、実は、特に地方においては今でも、まわりに染み出すように形を変えながら「ヤンキー」ではない人たちにまでじんわり浸透して影響を与えているようで、その裾野の広さに驚きます。

 ヤンキーに造詣の深い約10名の多分野の方々の執筆も面白く、そしてヤンキー(元ヤンキー?)のインタビューもなかなか興味深い。バイクやトラックの改造を「好きだからやってる」と答える彼らの言葉からは至って真面目な人柄が現れ出ます。


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