奥羽本線福島・米沢間概史
進藤義朗 エリエイ/プレスアイゼンバーン
奥羽本線福島米沢間の鉄道建設から山形新幹線開業までの歴史をまとめた本。
この区間は明治時代に着工し、板谷峠という交通の難所を越えるため橋の架け替えやトンネルの付け替えも何回か行った区間でもあります。
板谷峠は新幹線開通直前までスイッチバックが存在し、それが「峠」という駅で列車の停車中にホームで販売する「力餅」という菓子とともに狭軌時代末期の名物でもありました。
この本は、よくもこんなものが残っていたと思うような貴重な写真がふんだんに掲載されています。
明治期の蒸気機関車、初期の鉄橋や工事の様子、まだ直流電化期の電気機関車、交流電化後の特急急行全盛期の車輛、この区間で補機として使用するために製造されたEF71形電気機関車など。また、線路断面図や列車運行表などの貴重な資料も掲載され、橋とトンネルを繰り返す急勾配やそこを通過する列車の編成の変遷などが分かります。
また、年代を得るごとに次々と新しい技術を取り入れてスピードアップを図る様子は、日本の鉄道技術力の進歩の縮図を見ているようで、つくづく感心してしまいます。
個人的な思い入れもあって、見つけて思わず飛びついた本。マニア度高し。
2011-6-13
カテゴリー:交通