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インパラの朝

中村安希 集英社

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 私が初めて読んだ旅行記は、沢木耕太郎さんの 深夜特急 という本でした。
 日本を出てユーラシア大陸をバスを乗り継ぎロンドンまで辿る旅行記。旅を進める途中途中で遭遇する出来事や街の様子が時間を辿って記されており、私もその旅行の当事者のような気分になって半ば興奮しながら読んだものでした。

 それに対し、この「インパラの朝」という本は、身一つで世界中を旅行して回った若い女性の旅行記であり、当然様々な出来事に遭遇するのですが、旅の時間を辿るというのではなく、旅のエッセンスを凝縮した各国の出来事や様子をサムネイルのように並べているような感じになってます。
 危険と隣り合わせの女性の一人旅のせいか、最初から最後まで肩に力が入っているように見えて、半ば男以上の勇ましい気構えで危険から逃れる場面もいくつか見られるのですが、しかしところどころでふっとその力が抜ける瞬間に現地の人達との心の交流が働くようなところもあり、そこに何か陽の光が当たったような明るさを感じました。

 読み始めはそのやや暗いトーンに息苦しさを感じたりもしますが、それは飾らない心の動きを現しているようにも見えるのです。

 アフリカの最後のあたりはじーんと来ます。







2011-6-12

カテゴリー:旅と山歩き世界の文化と歴史

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