名作の中の地球環境史
石弘之 岩波書店
タイトル通り、様々な歴史的名作の中に出てくる背景から、当時の地球環境がどのようだったかを探り出す本。
この中に出てくる「名作」は、タイトルだけ聞けばおなじみのものが並んではいますが、恥ずかしながら自分はあまり読んだことのある本はないものの、物語の内容もダイジェストで紹介されており、時代背景を感じ取るのに十分でした。
この本を読んで分かったのは、人類は富を求めるあまり、自然界からあまりにも膨大な資源を取り尽くし、それが原因で疫病や食糧難、公害などに自ら見舞われてきたということ、「資源を限りなく貪る」という、形は変われど現代に生きる私た人類が昔と変わらないことをしている姿。
昔の「資源」は森林、農地、鉱物などでしたが、森は木を採り尽くされて草原や砂漠、農地となり、農地の拡大は人口増加に追いつかず、一方で荒れて使い物にならない農地も増え、鉱物は海中や地下深くのものにまで手を延ばしつつあります。
この本で分かったことは、その時代時代の様々な地球環境の変化そのものというより、止まることが出来ずに走りながら考え、進むべき方向を変えることが出来ずに、今までも、そしてこれからも存続危機へと向かっている人類の姿のような気がしてなりません。
2011-7-28
カテゴリー:地球の環境と資源