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#95

【読書】「こうのとりのゆりかご」を見つめて

熊本県立大学 熊本日日新聞社 (2009)

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 「こうのとりのゆりかご」とは、いろいろな事情があって育てられない赤ちゃんを匿名で預ける施設です。5年前の平成18年に熊本の慈恵病気が初めて設置し、話題となりました。

 このしくみはドイツの「赤ちゃんボックス」がモデルだそうで、日本と違い人工中絶の難しいドイツでは望まない出産が多いという社会的背景があるようです。

 この本では、「こうのとりのゆりかご」その設置の背景となった社会的傾向、設置に至るまでの流れ、そしてその後実際に利用されている状況が紹介されています。

 設置に当たっては様々な壁がありました。安易な赤ちゃんの放棄につながるのではという心配、前例が無い中での県の見解、想定していなかった課題など。

 しかし、読み進めるうちに、あっては欲しくない施設だが、現実としてこのようなシステムがもっと広まればいいのにと思いました。

 もちろん、(当時の総理が言ったように、)子どもはその親が育てるのが理想です。しかし、そうはできない親もいるという現実がある。
 匿名で赤ちゃんを預けることでその赤ちゃんが捨てられたり虐待を受けたりせずに済むのならそのほうがいい。
 理想は大切ですが、そうではない現実にも目を向ける必要があるのです。生まれてくる赤ちゃんに罪は無いのですから。

 匿名で預けることができるといっても、赤ちゃんのために預けた人の情報を残すよう勧めたり、親が分かれば話を聞き、説得するという努力もしているそうで、現に何人かは預けた赤ちゃんを引き取って育て始めているそうです。

 こういう社会になってしまったのは私たち国民皆の責任であり、理想どおりにはできない人たちを皆でフォローする義務があり、大人たちの事情でこうした子供達が不幸な道に巻き込まれてはいけないのだと思いました。

2012-1-17

カテゴリー:暮らしと子育て福祉
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