印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |

ハナwork2.jpg

#116

【読書】ヤマの記憶 山本作兵衛聞き書き

西日本新聞社

b0116-ヤマの記憶.jpg

 日本初の世界記憶遺産に認定された山本作兵衛さんの画集。

 山本さんは福岡県飯塚の炭坑作業員として働き、炭坑の仕事を引退した後に、炭坑の様子を絵や文章にまとめました。

 自ら炭坑で働いていたからこそ語り伝えることが出来ることをまとめた絵や文章は、とても説得力があり、かつ分かりやすいものであり、だからこそ貴重な資料として、世界記憶遺産に認定されたんですね。
 本当に絵が上手だし、とても味がある。ぱっと見ただけでは、炭坑作業員を引退された方が描いた絵とはなかなか想像がつきません。

 男性だけでなく女性も坑夫として働いていたこと、その重労働の苦労、炭坑住宅での生活の様子、つらい労働の合間のささやかな楽しみ、そして時代とともに徐々に様々な機械が導入される様子など、カラーで描かれた分かりやすい絵で、細かなことまで説明してくれます。
 特に、男たちは競って体に刺青を入れ、喧嘩ばかりしていたことなど、現代に暮らす私たちには想像もできませんが、そんな普段の生活の身近な何気ない話題まで詳細に説明されており、親近感を覚えました。

 この絵と文章からは、本当にきつかった労働の様子がよく分かります。こうした人たちの地道な労働の積み上げがあったからこそ、今の日本があるということを今一度噛み締める必要があるのかもしれません。


2012-3-13

カテゴリー:画集・作品集伝統技術

にほんブログ村 子育てブログ パパの育児へ
ランキングに参加しています。よろしければ1クリック、おねがいいたします!