#135
【読書】日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」
水谷 竹秀 集英社
困窮邦人って言葉、初めて聞きました。
ここに登場する人たちは、実に様々な人たちです。
日本のフィリピンパブで出会ったフィリピン人女性を追ってフィリピンへ来た人、偽装結婚に嵌まってフィリピンに渡った人、日本で犯罪を犯してフィリピンに逃げてきた人・・・
そして皆一様に明るく優しい若いフィリピン人女性に魅せられ、手持ちの金を貢ぐうちに有り金を使い果たし、そして捨てられる・・・日本にも帰れず、困窮を極める・・・
このような道をたどる人たちは、日本の縁者との縁も切れてしまった人が多く、帰りの旅費も手に入れることが出来ない。
あるいはそれが可能であってもあえて帰らなかったり、一度日本に帰っても戻ってきてしまったり。
水谷さんは何人もの困窮邦人を取材し、その理由を探ります。それはどうも「日本の社会は冷たい」ということのようです。
フィリピンは困っている人がいれば助け合う、それが日本人であっても。しかし、困窮邦人は、そのフィリピン人の好意に甘えすぎてしまい、それが問題になっているようです。
海外に行ってお金を使い果たしてホームレスになるのも自己責任でしょう。
しかしそのおかげで、行った先の国のお荷物になっていることを放っておいていいものか。さらには、それらが彼らの自己責任と言い切っていいものなのか、日本という社会に受け皿が必要なのではないか、など、いろいろ考えさせられます。
2012-4-26
カテゴリー:世界の社会問題/生き方