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#137

【読書】福島第一原発 ―真相と展望

アーニー・ガンダーセン 集英社

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 アーニー・ガンダーセンさんは全米で原子炉の設計・建設等に関わった原子力技術者で、福島第一原発事故以降にYouTubeで氏が福島第一原発事故の状況について語っている動画をご覧になった方も多いかと思います。

 この本では、福島第一原発の事故の現在の状況と事故の原因、今後の対処についてなどを説明しています。

 福島第一原発では米GE社のマークⅠという古いタイプの原子炉が用いられ、このタイプは運用後しばらくしてから、重大な事故の危険性が高いことが分かり、ガンダーセンさんに限らずこれまで何人もの技術者が言及してきたようですが、原子炉の安全基準が時代とともに変わっているのにも関わらずそれ以前に作られたこれらの原子炉には適用されないまま用いられ、それが様々な危険な状況を孕んでいたことが分かりました。

 1〜4号機のそれぞれについて現在の状況とこれから予測される状態、今後について説明していますが、まるで「放射能の壁」との戦いに挑むような廃炉と放射性廃棄物処理は本当に気の遠くなるような話で、普通の建物をブレイカーで破壊するのとは訳が違い、専用機械を開発し、それを使い捨て覚悟で使用するような気の遠くなるような作業をしなければならないわけです。
 当初からこういった事故を想定し、廃炉の手順を考慮した設計・建設をしなければならず、それが出来なければ早めに改修するなり廃炉にするなり手だてを打たなければならなかったわけで、結局コスト優先でいざとなったら作業員を使い捨てする前提で造られたと思わざるを得ないでしょう。

 たとえ事故を起こさずに廃炉となっても、へたをすれば孫の世代までかかりそうな処分作業をこれから全国50カ所以上で為さねばならないのか、と思うとため息が出てしまいます。

「あるとき私は確信しました。原子力の安全性を高めるための費用で、代替エネルギー源を研究開発した方がよっぽど安価だと。」
 原子力の本場アメリカの原子力スペシャリストにここまで言わしめる原子力発電所をこれ以上使う意義があるのでしょうか。

2012-5-7

カテゴリー:原爆・原発・原子力科学技術日本の社会問題

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