#163
【読書】どこ行くの、パパ?
ジャン=ルイ フルニエ 白水社
フルニエさんはフランスの作家さんだそうです。でもこれはご本人の体験を書いた本。
はじめての子が障害児として生まれ、絶望に打ちひしがれますが、やがて二番目の子が誕生。しかしこの二番目の子も障害児であったことが分かり、再び気持ちはどん底に。
フルニエさん、成長する二人の障害児の息子たちと暮らしながら、あれこれ考えます。もしうちの子が健常者として生まれたら、こんなことができただろう、あんなことができただろう、・・・
そして卑屈なまでに、自分たちの生活を、息子たちを、皮肉ってユーモアで包んで書き記していきます。
読みながら、ああ、そこまで言ったらかわいそうに、そこまで自分を責めなくても・・・と思ってしまいますが、でもこの感情は障害者の子を実際に育てている人にしか分からないのかもしれません。
聖書のヨブ記を思い出しました。正しい人であったヨブが、サタンによって愛する人を奪われ、財産を奪われ、自らも病に冒され、延々と愚痴をこぼし、自らの境遇を呪い、神に延々と文句を言うところ。
しかしフルニエさん、こんなにまでも二人の障害児のことを皮肉って書いてますが、やっぱり我が子、フルニエさんの愛情ゆえの表現なんだと読んでいるうちに気づかされます。
いつまでも大人になれずどこまでも無垢な二人の息子たちに、私たちはいつの間にか親しみを覚えるのです。
2012-8-15
カテゴリー:福祉