#166
【読書】文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの
ジャレド・ダイアモンド 草思社
先日読んだ、「土の文明史」につながるものがありました。豊かな土壌を消費しつくして大地を荒廃させ、そしてある文明はそのまま衰退していく様。
ところでこの本では、過去に様々に崩壊していった文明、あるいは今現在崩壊の過程と思われる様子を見せる文明、社会について、様々なケースを紹介していきます。
さきほど、「土の文明史」につながるものがあると書きましたが、文明崩壊の鍵は「環境資源の破壊」すなわち、生態系の崩壊のようです。
ダイアモンドさんは、生態系の崩壊について、5つの要因をあげました。
環境被害、気候変動、近隣の敵対集団、有効的な取引相手、環境問題への社会の対応。
気にせず環境資源を利用しているうちに使い取尽してしまったり極端に環境が脆弱であったりすること。気候変動に対処してリスク回避する術を知らないこと。生態的な崩壊により軍事的に弱くなってしまうこと。近隣社会に依存しているがためにその絆が途切れそうになること。そして社会問題の解決がうまくできないこと。
ダイアモンドさんの仕事の関係で縁があったモンタナに始まり、イースター島やマヤ、グリーンランドあたりは「土の文明史」でも取り上げられており、その文明の崩壊の検証にうってつけの題材なのですね。そして中国やオーストラリアなどの大国などを取り上げるのは興味深いところ。
読み終わって分かったことは、「環境資源が無尽蔵にあると思っていたが実際はそうではなく、その消費や持続を適度にコントロールできることが文明を持続するための鍵である」ということ。なんだかんだ言って、私たちを支えているのは他でもない、自然環境、なのです。
2012-9-13
カテゴリー:世界の文化と歴史/地球の環境と資源