#202
【読書】松井冬子 一・二 MATSUI FUYUKO I ・II
松井冬子 河出書房新社
異色の日本画家、松井冬子さん。
昨年、横浜美術館で行われた企画展を見に行きましたが(→記事「松井冬子の世界、そしてチビの反応」)、おどろおどろしさと思わず目を背けたくなる表現で、そのあまりにも強烈な印象はとても忘れることができないものですが、人間の内面性をえぐりだしたような雰囲気感覚は、その作品を見ている人とどこかでつながっているように見えて、かすかな安堵感も感じるような絵でした。
その松井さんのこれまでの作品を収めた画集で、本の大きさも大判ですが、絵の実物を見た後でこの本を見るとどこかペラッとした感じを受け、どうしても物足りなさを感じ、実物を見たときのような潜在意識を叩き起こすようなあの感覚は甦りませんでした。当たり前と言えば当たり前ですが、まあ仕方のないことですね。
それでも、松井さんの作品集としてまとまっているのはこの本ですし、部分的に拡大したり、ドローイングを豊富に掲載するなど、その作品の特色を最大限に見せようとしているようには感じました。
松井冬子さんの絵の世界に手近に触れるのには一番いい本だと思います。
2013-1-6
カテゴリー:画集・作品集