#211
【読書】埼玉の逆襲
谷村 昌平 言視舎
「埼玉には何がある?」といわれて真っ先に思い浮かぶのは何でしょうか?
東京は別格ですが、神奈川なら横浜とか湘南、千葉なら房総やディズニーランドあたりでしょうか。
埼玉といえば・・・?
埼玉に住んでいる私でも、一瞬、ハテ何だろう?と首をかしげます。
「埼玉都民」という言葉があるくらいですから東京への依存は相当で、もちろん千葉や神奈川も同様の傾向はあるのですが、その「郷土愛」の無さには、たとえば「選挙での最低の投票率」といえば埼玉の名前がちょくちょく挙ることにも表れていると思います(検証したわけではありません)。
そう、埼玉県民は一般には「埼玉が全国に誇れるものが無い!」と思い込んでいるわけですが、そんな思いを吹き飛ばし、「埼玉ってこんなにすごいものがあるぞ!」と言わしめるのがこの本です。
だがしかし、歴史的に見て昔から江戸を物的に支えた存在だったとか、近代の施策においても様々なことが後回しになってきたとか、最初のそんな話からして「ああやっぱり」とがっかりすること請け合いですが、しかし、後半では巻き返しがあり、昔から住みやすいところだったこと、だからこそ江戸東京を支えながら埼玉が発展してきたことやおかげで人口の定着率が高いこと、県内総生産や人口が上位であったり、また、市の数が日本一は知ってましたが、ひな人形や鯉のぼりの出荷、医療品の生産高など、実は隠れた日本一がいろいろあるなど、ほほーと思わせる事実をいろいろと掘り出してくれます。
まあ全体を通して見ると、「逆襲」というよりは何だか慰められたような気持になりましたが、でも、意外と埼玉もやるじゃないか!と思ってしまったのも事実で、面白くてどんどん読み進められるので、学校で郷土を学ぶための副読本としてもちょうどいいんじゃないかと思いました。
2013-1-30
カテゴリー:まちづくり・コミュニティ/日本の文化と歴史