#212
【読書】横尾忠則コラージュ 1972-2012
横尾 忠則 国書刊行会
横尾忠則さんが長年制作を続けたコラージュの集大成。
私は横尾さんが昔からこんなに多くのコラージュを制作していたとは知りませんでしたが、何と言っていいのか、さすが「宇宙人に首に送受信装置を埋め込まれた」と言った人だけあって、浮世離れしてますね。まさに横尾さんの頭の中の「宇宙」を見せられたという感じです。
宗教画、おそらく政治家たち、女性の裸体、世界の様々な人たち。
それらがバラバラにはめ込まれた小宇宙。一見「風刺画」のようにも見えます。
しかし、そんな「カオス」のような作品ですが、なんだかバランスが良いというか、ただ単にデタラメに画像を貼っていっただけでは出来ない、不思議な「納まり感」を感じます。
そしてキワドくてエグい感触には横尾さんらしいいたずら心が溢れてます(もしかしたらご本人は本気かもしれませんが)。
作品は時系列で並べられていますが、しかし、ページをめくっていくと最後のほうで急に作品の空気が変り、そんな「いたずら心」がパッタリ見られなくなります。おおざっぱに言えば、こじんまりしている作品、あるいはたくさんの人物をべたべた貼っただけの作品。
おや、と思ってよく見ると、それは2012年からしばらくの間の作品でした。
そうです、東日本大震災の後。
おそらく震災の影響でしょう。2012年の前は2006年の作品ですから、2012年の作品は震災の空気感が作品に影響したのかもしれません。私の勝手な推測ですが。
宇宙人横尾忠則かと思っていたら人間横尾忠則だった、と思いました。
2013-1-31
カテゴリー:画集・作品集