#228
【読書】長崎の教会
白井 綾 平凡社
長崎はカトリックのクリスチャンにとって、日本の聖地のようなところですね。種子島に鉄砲と共に届いたキリスト教は長崎から始まりました。
この本は、そんな長崎に残る、数々の教会堂を写したもの。それぞれ建立は明治〜大正期と古く、西欧風のデザインを用いながらも日本的な機能やデザインも反映させるという、日本の地に根ざした教会堂が多く造られました。
ただ、現在それらのうちのいくつかは過疎のために使用されなくなったり、数十人の信者で何とか維持されたりと、その道のりは決して平坦とはいえません。
しかしここに写された教会堂はやや露出オーバー気味に明るく写され、そんな現実も吹き飛ばしてしまいそうです。そしてそこに浮かび上がるのは、長い年月大切に使われ、長い歴史が刻まれ味わい深くなった教会堂の姿。人々の生活と共に歩んできたそれらの建物には、神聖な空気と共に昔からの人々の愛着が暖かい雰囲気となって写し出されています。
主に五島列島に多く残されるそれらの多くの建物は、日本の他の地域ではなかなか見られない光景として貴重なものでしょう。
2013-3-20
カテゴリー:写真集/宗教・信仰