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#233

【読書】14歳からわかる生活保護

雨宮 処凛 河出書房新社

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 ここのところ生活保護について、記事がよく新聞に載るようになりました。

 一番話題となったのは、ある人気芸人さんの親が生活保護を受けていると某国会議員が問題にしたことでしょう。

 不正受給ではありませんが、稼いでいる芸人さんがなぜ親を養えないのか、というのが争点だったと思います。
 生活保護を不正受給しているのは全体のうちのほんのわずかで、生活保護を受ける権利がある人たちの中で実際に受けている人たちの割合が(捕捉率)少ないことこそ問題なのにと思ったものですが、要は生活保護の受給額引き下げのために理由をつける格好の話題として取り上げられたといったところでしょう。

 この本ではいろいろ誤解が多くて一般の人にはよく分からない生活保護について分かりやすく教えてくれます。

 まず、私も初めて知りましたが、一番大事なのは「誰でも申請する権利がある」ということです。

 生活保護の申請の際には、水際作戦というのが一般的に行なわれるそうです。つまり簡単に言えば、役所が「なるべく申請させないようにあれこれ理由を付けて追い返す」こと。
 ですから、この段階であきらめてさらに困窮に陥るパターンが多いそうで、そのまま餓死、というニュースも最近目立っています。

 生活に困っている人たちを最低限「生きることができるように」設けられた制度なのに、政府は「金がかかるから止めてしまいたい」というのが本音のようですね、どうやら。

 この本では、生活保護は権利なのだ、人それぞれ事情があるのだから受けるとしても恥ずかしいことではないのだ、ということを教えてくれます。
 こんな大事なこと、むしろ学校で教えなくてはいけないことではないですか。どんなに金が無くても君たちには最低限「生きることができる」という方法がある、と。

 もちろん、生活保護を申請すると審査で様々な困難が待ち構えてますが、それはともかく、まずは「なんとかなる」ということを知ることが大事。
 「生活保護入門」として分かりやすい良書だと思いました。

 この本を読んだ後に、兵庫県の某市で、生活保護者が娯楽で浪費をしているのを見たら通報するという条例を可決したというニュースが飛び込んできました。
 生活保護を受けていたって、多少は「楽しみ」が無くては人間的な生き方とは言えません。そんなに生活保護費を浪費している人が多いのでしょうか。
 本当にこの国は弱者に対して冷たい国です。

2013-3-28
カテゴリー:福祉政治と行政

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