#239
【読書】山口晃 大画面作品集
山口 晃
思うのですが、山口晃さんて歌手の平井堅さんに似ているなあと。あの雰囲気とかしゃべり方とか。
それはさておき、山口さんの作品でぱっと思いつくのは、洛中洛外図風に描かれた街の中に、色々な時代(風)の建物や人やモノなどが放り込まれた不思議な世界。
その絵はあきれるくらい緻密で、こんなに細かいと隅々まで見る人もいないだろうに、この人はなんでこんなとこまで書いているのだろうと思うくらい。
本人曰く、第一弾は版が小さく見にくかったので今回は大きくしたそうですが、その第一弾を持っている私もそう思いました実は。これだけ緻密に描いているのだから、大きい方が見やすいのに、と。
今回も、不思議な成田空港や六本木ヒルズが登場し、海外の人がコレを見て、日本で現地を見たらさぞかしがっかりしてしまうだろうと、そんなふうに思ってしまうほど面白い。
成田上空を飛ぶ飛行機の中ではお座敷での宴会が行われ、図書室で本が読まれ、ビリヤードが行なわれ・・・
成田空港のビルは明治期の和洋折衷風で利用客にはいろんな時代の人がおり・・・
なんていうふうに、実に馬鹿馬鹿しい空想を大真面目に描いているので、「なんだこりゃ?」とついつい笑ってしまいます。
この馬鹿馬鹿しさが好きで、それはつまり「古典的な絵画技法」の中に現代風要素がそのまま入り込むことで違和感を感じるところに面白さを感じてしまうのでしょう。
異種をそのまま同時に取り込み、あえて均すことなくそのまま表現することに山口さんの作品の面白さがあります。と同時にシュールさをはらみ、遊んでいるようで何かを訴えかけているような。
地下鉄の車両が三階建てで、一階が銭湯になっている絵には笑ってしまいました。こんなのがあったらいい。でもすぐ目的地に着いちゃうから落ち着いてお風呂入ってられないかも。
2013-4-14
カテゴリー:画集・作品集
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