#251
「本当のこと」を伝えない日本の新聞
マーティン・ファクラー 双葉社
日本には独特な記者クラブという制度がありますが、この記者クラブのあまりのひどさに目が覚めたのはやっぱり東日本大震災と福島第一原発事故からでしょうか。
インターネットでは、体一つで各地を飛び回るフリーのジャーナリストの方たちが、特にテレビや新聞でなかなか出て来なかった情報をいち早く届けてくれたましたし、記者クラブから閉め出され、中に入れたとしても指名してもらえなかったことをよく訴えてました。
ファクラーさんはニューヨーク・タイムズの東京支店長をされている方で、日本には長くいらっしゃり、日本語も堪能なようです。
大震災直後、日本の記者たちが伝えたいことではなく無難な内容を取材する姿、原発事故直後には日本の新聞記者たちは逃げてしまい被災地の首長が憤っていたことなど、また、日本の記者クラブの閉鎖性、政府や大企業との馴れ合い、日本の記者が自分が書いた記事に責任を持たないこと、などその特異性を、主に日本の全国紙の記者たちについて、海外のジャーナリストからの視点で語ります。
また、政府や国の不正を追及しようとして深追いすると、逆恨みで痛手を受けることもある。
だから政府や国となあなあになりやすいのでしょうけれども、こういうことにも読者がもっと声をあげ、市民の立場に立とうとする新聞を支えてあげなければ、やっぱり新聞は保身に走りどうでもいい情報しか流さなくなるのでしょうね。
こんな新聞記者たちをこんなふうに育ててきたのも、とりあえず世の中の情報を与えてくれればよいとしてきた私たち国民一人一人なんですよね。
受け身の態度ではなく、それぞれが情報を吟味し選別する力を養い、必要があれば意見することがよりよい新聞を育てる道なのだ、と思いました。
2013-5-29
カテゴリー:日本の社会問題