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#276

回勅 パーチェム・イン・テリス ―地上の平和

教皇ヨハネ二十三世 日本カトリック司教協議会社会司教委員会 マイケル・シーゲル カトリック中央協議会 (2013)

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 「回勅」とは「ローマ‐カトリック教会で、教皇が全教会の司教または信者にあてて、教会全体の重要問題について書き送るラテン語の手紙。」(デジタル大辞泉)とあります。

 この本が世に出たのが50年前のこと。
 人間と政治共同体との関係について、様々なことが書かれています。

 人間については、多くの権利を有することが書かれています。生きる権利、生き方を自由に選択できる権利、集会と結社の権利、・・・
 一方、政府当局については「共通善(人間の全人的発展の達成をより完全に、より容易にする社会条件全体のこと)の実現が政府当局の存在理由そのもの」と言い切ります。それを、人間の様々な権利と義務を守ることで保障しなさいということです。そのために政府当局がなすべきとすることをいろいろと述べています。
 その上で、政治共同体(国など)どうしの関係についても言及し、政府当局同様、全ての人の共通善を目指しなさい、と述べるのです。資本の均衡、少数民族に対すること、政治難民について、軍備縮小について・・・。それらの多くは、50年経った今でも、未だに問題が残っているものばかり。

 この回勅は、「核戦争勃発か」と世界中に緊張が走った、あのキューバ危機に合わせて出されました。
 あとがきや解説に書かれていますが、実際はキューバ危機では、アメリカの脅しにソ連が屈したのではなく、ソ連が平和的解決を目指してアメリカと裏交渉した結果のようですね(私は知りませんでした)。教皇ヨハネ二十三世が橋渡しをしたようで、危機回避直後にこの回勅は発表されました。これはカトリック信者のみならず、世界中の人たちに向けて人権、平和などについて訴えています。

 読んでいて、今の日本国憲法が持っている「安心感」のようなものをふと感じましたが、再びギスギスした現代の国家間の関係の中で、再び各国の政治指導者たちの目に留まることを望みます。

2013-8-23

カテゴリー:宗教・信仰世界の社会事情と外交

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