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#279

日本に生きる北朝鮮人 リ・ハナの一歩一歩

リ・ハナ アジアプレス出版部 (2013)

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 リ・ハナさんは北朝鮮からの脱北者。
 18歳の時、監視員の目を盗んで家族で国境の川を渡って中国に渡り、韓国を経て日本にやってきました。

 日本に来たばかりのころは隠れるように働きながらあちこちを転々としたリさんは、やがて様々なつてで学校に通って勉強し、その後大学に通うことになります。そんな大学生活を送っていた頃にリさんが書き綴ったブログの内容の2009〜2011年分をまとめたのがこの本です。

 主に大学生活を綴ったその内容は、大学でのこと、勉強のこと、友達と遊びに行ったこと、など日常の出来事。脱北者というと普通の日本人とは違うという偏見が私の頭のどこかにあったせいか、普通の日本人の若い女性のブログとそう変わらない気がしてすこしびっくりしました。
 そしてところどころで、それまで暮らしていた北朝鮮のことを振り返ったり、北朝鮮についてのニュースに触れてリさんなりの意見を述べたりしていますが、とても興味深く、えっと思うような日本では考えられないような体験などがぽろっと出てきたりします。

 北朝鮮での暮らしというのはいろいろなことが抑圧され汲々としながら生活しているイメージがありましたが、リさんが暮らしていたのは都市部だったということもあるのでしょう、楽しかった高校時代のころの思い出話なんかを読むと、普通に暮らす分には日本での生活と大きくは変わらないんだなあと思いました。
 しかし農村部での生活は困窮しているらしく、リさん家族も都市の住民票が維持できなくなり農村に移されそうになるのをきっかけに家族で脱北を実行します。

 命をかけて逃げ出した祖国北朝鮮ですが、楽しかった思い出に支えられたせいか、国際的に色々物議をかもすようなそんな北朝鮮であってもリさんにとっては愛する祖国であることには変わらないことがよく感じられました。

 リさんの柔らかく明るい語り口とその飾らない雰囲気は読んでいる方にも心地よく、読んでいるうちについつい応援してあげたくなってしまいます。

2013-9-15

カテゴリー:生き方/偉人伝・自伝/世界の社会事情と外交/日本の社会問題

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