#286
苔とあるく
田中 美穂 伊沢 正名 WAVE出版 (2007)
確かに、苔、きれいですよ。
山登りに行ったときとか、日本庭園を歩くときとか、見事にきれいな苔にうっとりすることがあります。
でも、身近にある苔を鑑賞する、ということを、考えたことなかったですね。
数年前、苔玉なるものが登場し、小さな鉢で苔を育てるということが流行り出したことはありますが、盆栽や鉢植えのような市民権を得たとも言い難い。
そんな「苔」ですが、田中さん、苔の世界に魅了され、苔の見つけ方や鑑賞の仕方、楽しみ方、様々な苔についての説明、苔を採種・分類・保存する方法、そして育て方や、何と「食べ方」まで、あらゆる楽しみ方を披露してくださいます。
触ったり、水をかけたり、ルーペで覗いてみたり、さらには持ち帰って顕微鏡で見てみたり。
数時間かけてまわる「コケ散歩」などは、そんな小さな物をじっくり時間をかけて見て歩くという、なかなか贅沢な時間の使い方です。
何気なく普段目にする苔は地味で小さくて目立たないからこそ、拡大して見る苔の別世界に魅了されるようですね。
この本で伝わってくるのは「いろいろな方法で苔を楽しむこと」です。写真とイラストを活用し、「苔に接するのはこんなに楽しい!」という気持が強く感じられます。
苔の世界は、ああ見えてなかなか奥深いんですね。
2013-10-20
カテゴリー:自然科学/評論・エッセイ・ルポ