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#327

被爆医師のヒロシマ 21世紀を生きる君たちに

肥田 舜太郎 新日本出版社 (2013)

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 肥田さんは広島に投下された原爆に被爆しながらも軍医として働いた医師であり、数多くの被爆者を診られた方です。
 これまで各地の講演の中でそれまでの肥田さん自身の活動について語っており、その活動の様子は「核の傷」という映画にもなりました。

 この本の内容は、それら講演会や映画で語られる肥田さんのお話の内容とほぼ同じですが、若者向けに分かりやすく端的に書いています。

 原爆というのは、直接原爆の熱や爆風で死亡した人たちだけでなく、投下後数日してから市内に入った人たちにさえもその影響が及んでいるとみられ、そうした人たちも数々の原因不明の健康障害に悩まされます。しかも、原爆投下から60年以上経った今でさえなおその後遺症に苦しんでいる人たちが多くいるというのです。

 そして、アメリカや国が原爆のよる健康への影響をなるべく小さく見せようとする一方で、原爆の後遺症だけでなく人間関係の断絶や差別のために実に多くの人が苦しんでいることが、肥田さんが多くの人たちを診た経験を通して語られています。

 若い人たちだけでなく、私も含め、日本人のほとんどの人にとって広島・長崎の原爆被害はもう過去の話となっています。
 しかし、広島・長崎の原爆被害はもう終わった問題ではなく、今なお継続している問題でした。
 肥田さんは数多くの被爆者を診た上で、原爆による放射能の影響を矮小化しようとした国や国際機関に対し、放射能による健康への影響を訴え続けた医師であり、肥田さんの話は原爆だけでなく放射能といいうものとどうつき合っていくかを若い人たちが今後どう考えるための良い材料になることでしょう。
 読みやすいので大人の方々にもおすすめです。

 私が過去に別のブログで肥田さんの講演と映画について書いてます。
 講演→http://shiroyagiya.com/talk/a0047.html
 映画「核の傷」→http://shiroyagiya.com/talk/a0033.html

2014-6-27

カテゴリー:日本の文化と歴史原爆・原発・原子力医療と健康
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