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#328

ホームレス障害者 彼らを路上に追いやるもの

鈴木 文治 日本評論社 (2012)

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 なぜホームレスになってしまうか。
 世間で一般的に、仕事が嫌いで仕事につかないからではないか、とか、社会に適応できないからではないか、など、自己責任でホームレスになってしまったと考えられがちではないでしょうか。

 確かにそうした人たちもいらっしゃるでしょう。
 しかし、ホームレスの中には、障害者であるがゆえに働きたくても働けず、仕方なくホームレスになってしまう方も少なくないといいます。

 川崎の教会の牧師さんである鈴木さんは、ホームレスの支援に乗り出しますが、それはとても大変なものでした。
 教会のミサにホームレスの方々を招いたり、様々な支援をしたりしますが、教会にホームレスの方々が集まりだすと近所からの苦情が相次ぎました。
 そこで鈴木さんは、ホームレスの皆さんに、教会に来る際の最低限のルールを守ってもらったり、周辺の掃除をしてもらったりすることで、徐々に近所の理解を得るようになります。

 鈴木さんは教会で多くのホームレスの皆さんと接するうちに、彼らの中に障害者が多いことに気づきます。といっても、ほとんどは一見障害があるとは分からない人がほとんどのようで、そのために「働けるのに働かない」という誤解も招くんですね。
 無施策や無理解、偏見、差別などがいかに彼らが生きづらくしているか。

 鈴木さんとホームレスの方々との交流をいくつかの事例として紹介していますが、教会に来ても暴れたり他の人たちに迷惑をかけてきた彼らが徐々に変わってゆき、人生に喜びを感じようになるに至る過程が感動的であり、そして同時に彼らがこれまでの人生で受けてきた様々な苦痛というのが彼ら自身が自らの力で立ち直るための足かせになっていたことが伺えます。

2014-7-5

カテゴリー:福祉日本の社会問題政治と行政
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