印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |

ハナwork2.jpg

#339

検証・法治国家崩壊

吉田 敏浩 新原 昭治 末浪 靖司 創元社 (2014)

b0339.jpg

 砂川裁判というのは、東京都砂川町(現立川市)の米軍基地内に、数メートル入ったデモの参加者23人が逮捕され、そのうち7人が起訴されるという「砂川事件」(本文より)を発端とした一連の裁判であり、東京地裁にて「米軍駐留は憲法違反」とされ「起訴された7人は全員無罪」という判決が下された(伊達判決)にも関わらず最高裁で「原判決を破棄し東京地裁に差し戻す」という逆転判決が下されました。

 伊達判決は日米両政府に衝撃を与えたといいます。その後、原判決後上告を東京高裁を飛び越えて最高裁に行う「跳躍上告」が行われたこと、スピード審理が行われたこと、15人の裁判官が全員一致で判決を下したこと、などなど異例とも言える一連の裁判の流れから裏で何らかの動きがあるとささやかれたようですが、アメリカの解禁秘密文書から、アメリカによる強い圧力があったことがはっきりしました。

 この本では、伊達判決後からのマッカーサー米大使の日本政府への働きかけ、米大使の田中最高裁長官との密談、など、この伊達判決を不服としたアメリカによる「力技」とも言える圧力の様子、そしてこの砂川裁判以外においても、米軍の活動のために日本の法律がねじ曲げられてゆく様子が明らかにされています。

 私たちは義務教育で「三権分立」というものを学びましたが、現実には「三権癒着」がこっそりと行われているという状況がありました。
 正々堂々と国民に問いかけることなく、裏でこっそりと根回して国の方針を決めてしまう政府の姿勢が果たして良いことなのかどうか、考えさせられます。

2014-9-27

カテゴリー:政治と行政世界の社会事情と外交日本の社会問題

にほんブログ村 子育てブログ パパの育児へ
ランキングに参加しています。よろしければ1クリック、おねがいいたします!