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#349

政と源

三浦 しをん 集英社 (2013)

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 銀行員として働き勤勉な生活を送ってきた「国政」、技術も廃れてきたつまみ簪職人として腕を磨いてきた「源次郎」という、大きく異なる道を歩んできた幼なじみの老人二人の物語。

 源次郎には後継ぎとなる徹平という弟子がいますが、徹平の結婚を機に国政と源次郎がそれぞれの結婚生活を振り返ります。
 先に妻を亡くした源次郎と、妻に出て行かれた国政。徹平の結婚の仲人を頼まれたことを機に、国政は何とか出て行った妻に戻ってきてもらおうと悪戦苦闘しますが・・・

 若い頃は「ワル」で鳴らしていただろう二人、年老いてからも彼らの心は変わらず、そして相当な頑固ジジイなのには笑ってしまいますが、物語が昭和のテイストなのに漫画風扉絵にもあるような軽快なタッチで爽やかささえ感じます。
 わずか数ヶ月程度のことを取り上げているであろうこの物語はこの国政と源次郎の何十年という変わらぬ「腐れ縁」ぶりを想像させるのに十分であり、不思議と安心感さえ感じさせてくれます。

2014-11-10

カテゴリー:小説

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