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#367

絶望の裁判所

瀬木 比呂志 講談社 (2013)

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 うーん、これを読んでいくと、確かに裁判所には絶望してしまいます・・・
 元裁判官の瀬木さんによる、今の日本の裁判所の、根深い問題点。

 それは、ヒエラルキーが強いキャリアシステムと外部から閉じた裁判所の構造、そしてそのキャリアアップをめぐり嫉妬・妬みなどでお互いの足を引っ張り合う裁判官の人間的未熟さなどにあるようです。そしてもちろん、このような状況が判決に影響を全く与えないとは言い切れません。

 ここに指摘される問題点は、本書を読む限り、瀬木さん個人の主観が影響されるものが大きいとは思いますが、それを差し引いて読んだとしても、裁判というものが全く公正に行われているとは決して言えない、ということを感じます。
 裁判官は神ではなく我々と同じ人間であり、だから公正な審判を行えるとは限らないと分かってはいても、そのレベルの裁判が行われているかどうかも怪しい、ということに落胆します。

 私たち個人個人がとれる自衛策としては、常に裁判を意識してそれを回避できるようあらゆることに注意を払う、あるいは訴えらても最後まで自分は無実だと言い続けられる強靭な精神を鍛錬すること(そうすれば裁判に勝てるというわけではありませんが)くらいしか見当たりませんが、それでも瀬木さんが最後に提案する法曹一元(弁護士経験者から裁判官を任用する)制度への移行など、外に閉じた裁判所を根本から改善して開かれた裁判所にする工夫を提案していますが、そのように変わっていくことを期待したいし、そのように変わるよう私たちも声を挙げていかなくてはいけないのだと思います。

2015-4-3

カテゴリー:政治と行政日本の社会問題

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