#366
ラオス 山の村に図書館ができた
安井 清子 福音館書店 (2015)
7年前、ラオスの山の中にあるモン族の村に、図書館ができました。
ラオスの難民キャンプでモン族と出会い、その後テレビ取材の同行を機に再びモン族の村を訪れることになった安井さん。
取材を行った「太郎さん」は亡くなりましたが、太郎さんのお母さんとの交流からモン族の村に図書館を建てる話が進み、実現に向けて動き出します。
図書館建設に協力することになった「シンサクくん」は、図書館を「千年もつ図書館」を作るために日本の伝統工法を用いた建物とすることとし、シンサクくんの指示のもと材料の調達から建設まで村人たちが協力して工事を進めます。
木材がなかなか届かなかったり、機材が足りなかったり、大工さんの都合がつかなかったりと、なかなかスムーズに工事は進みませんが、建物の基礎となる石を砕き、壁に使う土を水牛に踏ませ、皆で屋根を葺き、と、村人たちが皆で作業に関わり図書館は少しづつ出来上がってゆきます。
竣工後の図書館は小さくてささやかな建物ですが、子どもたちが熱心に本を読み、大きい子は小さい子に読み聞かせ、村の子どもたちが集まるコミュニティ施設として盛況します。
かつて安井さんはモン族に長く関わっていたためか、図書館建設や運営に携わる人たち、あるいはその周辺で関わりがあった人たちの様子や出来事の描き方に、家族や親戚、友人たちといっしょに暮らしているかのような親しみを感じます。
途中途中に挟んである写真にもそれが現れていて、とても素敵な写真です。
本というものが簡単に手に入る環境ではないからでしょうか、モン族の人々の図書館に対する思いや関わり方は、図書館が身近に存在する環境で生活する私にとっては実に新鮮で、私たちにとって当たり前のようにあるものがとても貴重な存在である世界がまだまだ存在することに改めて気づかされます。
2015-4-3
カテゴリー:世界の社会事情と外交