読書の時間 #382
永井 隆 原爆の荒野から世界に「平和を」
片山 はるひ 日本キリスト教団出版局 (2015)
永井隆。長崎が輩出した偉人です。
どんな人かというと・・・
永井隆は戦前、松江で生まれ育ち、長崎の大学に進みます。放射線医師として大学で研究を続けてきましたが、戦争が始まり幾度となく軍医として戦地に送られます。ようやく大学に戻ってきたものの、放射線による障害で体をこわし、余命3年を宣告されます。そこで起こった長崎への原爆投下。自ら被爆、負傷しながらも多くの人たちを救助し、その後白血病で寝たきりになってからは多くの著作を発表したり子どもたちのために文庫を開いたりして、若くして亡くなりました。
薄くて読みやすい本です。語り口が物語風で、ストーリーも簡潔ですっきりしており、この本は特に「子ども向け」と謳っているわけではないのですが、子どもたちにも読みやすい本です。
彼が長崎に来てからカトリックの信仰に目覚め、多くの困難に出会いながらも強い信仰で乗り越え、戦地に赴いても、原爆で多くの人が負傷しても、周りの人たちに愛をもって接していったことがよく表されています。原爆で妻に先立たれ、自ら病に伏しながらも二人の子どもを優しく見守り、神の愛を伝えていこうとする場面はとても感動します。
永井隆について記された本はいくつかあると思いますが、これは「ダイジェスト版」といった感じの本なので、読んだあとは、もっと彼について知りたいと思うかもしれません。
長崎を訪れる際は、この本をさっと読んでから如己堂や永井隆記念館を訪ねば、実りある長崎訪問になるでしょう。
2015-8-25
カテゴリー:偉人伝・自伝/子どもの本/宗教・信仰