読書の時間 #383
夜の木
バッジュ・シャーム ドゥルガー・バーイー ラーム・シン・ウルヴェーティ 青木 恵都 タムラ堂 (2012)
タムラ堂という、吉祥寺の小さな本屋さん(何と、畑仕事もしているらしい・・・)が出版した、素敵な本。
原著はThe Night Life of Treesという、インドのゴンドというところで制作されたハンドメイドの本。
実は日本版の本著も、同じインドの作家さんが原著と同じくハンドメイドで仕上げています。
全ページ、真っ黒。独特なインクのにおい。ざらっとして暖かみのある、手透きの紙。
そこにくっきりと浮かび上がる、奇妙な形と鮮やかな色をした不思議な木。
この本に出てくる「夜の木」は、鳥に覆われたり蛇でできていたり動物にみえたりと、夜の闇の中で木とは思えない姿を見せます。まるで動物たちと夜遊びしているかのよう。
きっと朝になったら、普通の木の姿に戻るのかな?
絵に添えられたささやかな物語も、へんてこな昔話のようで頭の中をぐるぐる巡ります。
当初、日本版の出版を出版元に依頼したものの断られ、それならいっそのこと自ら出版してしまおうと、日本版の出版の承諾を得、何度もインドに足を運び、現地の工房で原著と同じ仕様で制作し、船で日本に運んでもらったとのこと。
表紙は版ごとに絵柄が異なるという凝りよう。しかも第4版(上の画像)の絵柄は、日本版のために特別に緑色にアレンジされたものだそうです。
インドから届けられた夜の物語。
楽しい夢が見られそう。
→タムラ堂ウェブサイト
2015-8-28
カテゴリー:画集・作品集
★おすすめ