#33
べてるの家の「非」援助論 そのままでいいと思えるための25章
浦河べてるの家 医学書院
北海道日高の浦河にある精神障害者の施設「べてるの家」。患者たちの奇行のためにパトカー・消防車・救急車がたびたび出動し、周辺住民からも迷惑がられ厄介もの扱いされていた施設の患者たちが、何と社会的自立のために何と日高昆布販売の会社を立ち上げた。
といっても社員は「精神分裂者」です。普通の会社とは違います。ちゃんとやろうとするとうまくいかず爆発してしまうからあえてうまくやろうとしない。差別や偏見を歓迎し、病気をウリにし、あえて自然体で行動することで逆に周りから親近感を持たれて事業は成功します。
「昇る生き方から降りる生き方へ」とはよく言ったものだと思いました。昇ろうとするから行き詰まる、では降りようとするとどうなるか。降りるとはすなわち自分の自然な生き方を目指すということ。だから自分の力を発揮できる、うまくゆくようになる。
これは普通の社会生活を送っている私たちにも十分あてはまることだと思いました。
それにしても、この本に書かれているエピソードを読んでいると、思わずクスリと笑ってしまいます。思い悩み、試行錯誤し、暴走し、反省し、そんな自分を認めて一緒に歩もうとする。もしかしたら彼らが人としての本来の姿であり、普通に社会生活を送っている私たちが精神障害に患わされているのかもしれません。
2011-8-19
カテゴリー:生き方/福祉/医療と健康
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