#46
環境教育 善意の落とし穴
田中 優 大月書店 (2009)
薄いし読みやすいですが、なかなか中身が濃い本。
紹介された15の落とし穴は、さわりだけ聞くと日常どこかで聞いた事のある「環境へ配慮した活動」ですが、実はその元を辿っていくと、様々な矛盾が見えてきます。節電は家庭より事業所で節電しないと意味がないこと、リサイクル品は国外に輸出され、輸入をした国の人たちの生活を圧迫していたこと、途上国援助といいながら結果的にその国をさらに貧困にしていた・・・などなど。
私たちは、環境教育の中で「環境へ配慮した活動」に対して「こんないいことをしてます」と教えてそれでおしまいで、それを単純に何も考えずに「いいことだからもっとやったほうがいいんだ」と思いがちですが、実はまやかしであったり、深く考えていなかったり、そもそもシステムがおかしかったりという問題があることを、誰も教えてくれません。私も環境問題については大づかみで知っているつもりが、全く知らなかったことがこの本にはいくつかありました。
誰のためなのか、何のためなのか、改めて考え直す機会がなければ、いいことをしているつもりが本当に無駄なことをしていたことになりかねません。
ここに収められた内容は世の中で起こっている無駄な「善意」の本の一部だと思いますが、それを防止するためにも今一度立ち止まって「本当にこれは善意なのだろうか、これでいいのだろうか」と考える習慣をつけなければいけないと思いました。
2011-9-29
カテゴリー:地球の環境と資源
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