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#86

詩集 厚い手のひら

井上 優 コールサック社 (2011)


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 井上さんのことを知ったのはツイッターのタイムラインに紛れていた、あるツイートでした。うろ覚えですが、確か原発事故後に福島の子どもたちを何とか救うための行動を起こしたけれどある障害が立ちはだかりうまくいかなかった、という内容でした。

 国語がどうも苦手で、高校進学時に迷いも無く理系に進んだ自分にとって、詩というのは取っつきにくいものでありながらちょっとした憧れではありました。
 でも、いままでに何冊か手に取ってみましたが、その後は縁遠くなってしまいました。あの文の形式になるととたんに想像力が働かなくなる。何かトラウマがあるのかもしれません。

 ところで、この本に目を通したら、すすっと心に入り込んできました。
 本当に純粋な心が様々な外の世界に触れて感じた、痛々しいくらいの感情、小さきものを見つめるあたたかな眼差し、そして無邪気なほどの喜び。静の世界にこだまする鼓動のように、時にゆるやかに、時に激しく鳴り響きます。
 原発事故のことから始まり、誕生した息子さんや家族のこと、そして世界の風景の断片。
 形はばらばらなれど、一通り読み終わった後に白い紙に水彩され終わったような清々しさを感じました。

 これをきっかけに、少し、詩もかじってみようかなあ。


2011-12-25

カテゴリー:詩集

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