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#122

美しい村に放射能が降った 飯舘村長・決断と覚悟の120日

菅野 典雄 ワニブックス (2011)


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 福島第一原発事故で全村避難するに至った福島県飯館村の村長の手記。
 飯館村は原発の爆発直後、たまたま風向きと降った雨により原発から30km圏外にもかかわらず高濃度の放射能で汚染されました。

 美しい村とタイトルにありますが、この手記で、実はこの村が、菅野さんというアイデアマンの村長のおかげで明るい村の未来を目指していたことを知りました。

 村に活力を与えるために、保守的な村人が仰天するような、様々なことをしてきました。
 奥さんたちを海外に旅行させたり、夫婦のあり方を勉強するセミナーを開催したり、村の女性を元気にして、そこから村を元気にしてゆくようなアイデアを出してきました。「住む人の心が、村の顔です。」という、キャッチフレーズが、その意気込みを感じさせます。
 こうして年々、「明るい農村」としての手応えを感じていった矢先の、原発事故。

 官房副長官から受け取った紙に書かれた、わずか3項目の短い文言。それは無表情な表現で書かれた、計画的避難区域の通告。

 本当に残酷なものです。
 村長が村人と一緒に夢に向かって築いていった明るい農村に、人が住めなくなったのです。
 この、村長の無念さをしみじみと感じました。そして、この理不尽に納得できずに、それでもその時の状況で動かざるを得ない村人たちの、やるせなさ。

 一体誰に、この人たちの努力の結晶である村と、希望と夢を、一瞬にして奪う権利があるというのでしょうか。


2012-3-27

カテゴリー:原爆・原発・原子力政治と行政日本の社会問題

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