#141
子どもの声を社会へ 子どもオンブズの挑戦
桜井 智恵子 岩波書店
桜井さんは、兵庫県川西市の「子どもの人権オンブズパーソン」という、子どもの人権を救済する機関で働いていた方です。
「子どもの人権」というと難しく聞こえますが、主な活動は学校と家庭の橋渡しとでも言いましょうか。川西市が初めてこのような制度を設けたようですが、なかなか画期的だと思いました。
学校の先生は授業の他、様々な仕事があり、なかなか勉強以外で子どもたちの面倒を見る事ができる状況にあるとは言いがたい。他方、家庭においては、子どもにとって居づらい場所になっているケースもある。
オンブズパーソンの相談員の元には、子どもたちから、いじめや交友関係の悩み、家族関係の悩み、教職員の指導、不登校・・・などの様々な問題の相談が持ち込まれるそうです。
オンブズパーソンがすることは、まず子どもの話を聞いてあげること。そして子どもの居場所になり、問題解決に向けて力を蓄えること。そして同時に、学校や家庭への改善提案も行います。
大人にとって生きにくい世の中になりましたが、子どもにもその影響が反映されているのでしょう。親も学校の先生たちも、子どもたちの声を十分に聞く余裕が無いのかもしれません。子どもたちにはますます居場所が無くなってしまう。
そうした中で、このようなオンブズパーソンがその受け皿となり得るようになったというのは、時代の流れなのかもしれません。
・・・彼らの願いでもっとも強いのが「ともかく話を聞いてもらいたい」。その一点なのだ。・・・
私たちは先入観抜きに子どもたちの声に耳を傾けているでしょうか。
2012-5-14
カテゴリー:暮らしと子育て/日本の社会問題
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