#189
すごい弁当力! 子どもが変わる、家族が変わる、社会が変わる
佐藤 剛史 五月書房
子どもが自分の弁当を作るとしたら?
子どものお弁当は親が作るのが普通ですね。
ところが、子どもたちが自分のお弁当を自分で作って学校で皆でお昼に食べるという「弁当の日」を作った小学校が四国にありました。
親は手を貸さず、子どもが自分で食材を切って調理して弁当箱に詰めて学校に持っていく。
最初は「そんなこと無理だ」という親の声が多かったものの、始めてみると、子どもは試行錯誤しながらお弁当を作り、学校に持って行ってお昼にお弁当をひろげてみると、他の生徒たちもいろいろなお弁当を持ってきていて、お弁当を食べながらそれについてそれぞれが感想を語り、話がはずみ、他の子のお弁当に触発される。
そして次にどんなお弁当を作ろうかと本気で考え、チャレンジする。それを見て家族がいろいろ協力し、家族も変わっていきます。
それによって子どもは、親が作ってくれるお弁当は単なる「お昼ご飯」という食べものではなく、それとともに子どものために手間暇かけて作るという苦労も知り、親の「愛情」の結晶であることも知るのです。
九州大学の先生である佐藤さんは、大学の学生の食生活を調査し、学生たちのそのあまりにも貧相な食生活の実態を知り、研究室にも「弁当の日」を設け、学生は毎回そのテーマに沿ったお弁当を作って持ってきます。
学生は与えられたテーマで各自メニューを考えますが、それによりどのような食材をそろえればいいのか、どのような調理をすればいいのか、ばかりでなく、その背景である食材の質、食料自給率や日本や世界の農にまで関心が及びます。
弁当にこんな大きな力があるとは驚きました。
この本には実際に弁当を作った子どもたち、学生たちの声も多く載せられており、その反響は読むだけでも楽しめますし、参考になります。
多くの学校で実践して欲しいですね。
2012-11-23
カテゴリー:食と農/暮らしと子育て
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