#191
満洲鉄道発達史
高木 宏之 潮書房光人社
歴史的な背景は抜きにして、純粋に日本の鉄道の歴史という視点から読んでみるととても面白い本です。といっても、かなりマニアック。
明治時代にイギリスの技術で日本に鉄道の技術が導入されましたが、当時世界で一般的だった「標準軌」に対して、日本に導入されたのはなぜか「狭軌」という幅の狭い軌道の規格でした。狭軌は車輛も大きくできずスピードアップが望めません。
かつて日本の鉄道を標準軌に改めるべく検討がなされたようですが費用の関係で断念、狭軌のままでJRになった現在にまで至ってます。
ところで、満州の鉄道はそれを反省としたのか、最初から標準軌が導入されたようです。
大陸の鉄道ですからね、それは必須だったでしょう。
当時の貴重な写真、ポストカード、図面がふんだんに掲載され、よくもまあこれだけ残り、集まったなあという感想。とても贅沢。
大陸の標準軌の鉄道とあってか、日本では当時運行できないくらいの大型の機関車や車輛が運用されていたんですね。
名列車特急あじあの写真は当時の色彩の着色が試みられる他、特急・急行や機関車などの大型車輛の数々、出来上がったばかりの立派な駅舎。
日本本土で作られたかなり豪華で大きな特急・急行列車の車輛が満州で運用され、この本を見る限り、この大陸において、日本本土では利用できなかったであろう様々な技術が生み出され培われたからこそ、戦後日本本土での鉄道の高度な技術に引き継がれ、当時世界最速となった標準軌の新幹線誕生につながったのではないかと思わずにはいられません。
2012-11-29
カテゴリー:交通
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