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#203

長崎 旧浦上天主堂 1945-58 失われた被爆遺産

高原 至 岩波書店


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 私が旧浦上天主堂の被爆跡の写真の存在を知ったのは、「浦上の丘に登れば」という一冊の本でした。
 何かの記事で知り、ネットで探しましたが見つからず、しばらくしてからヤフーオークションに出ていたのを手に入れました。

 池松経興さんが撮影した写真に濱田龍郎さんが祈りのような詩を添えた本。長崎の小さな出版社が出したものでした。
 そこに載せられていたのは、廃墟のようになった天主堂の一部、そして壊れたり焼けたりしたキリスト像・マリア像・聖人たちの像。そのなまなましい写真に目が釘付けになりました。

 そして最近出たこの本。こちらの本は写真集ですが、被爆後の浦上の様子、崩れた天主堂のまわりで遊ぶ子どもたち、そして残った天主堂跡を人力で取り壊す様子、新しく再建した天主堂の写真。
 痛々しい被爆遺跡の様子ながらも、そこには未来へと向かおうとする明るさがどことなく見られるような気がしました。

 広島の原爆ドームのように、この旧浦上天主堂を被爆遺構として保存する動きが盛り上がったものの、結果として取り壊されたことについて書かれた本「ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」」を以前紹介しましたが、やはりこの天主堂の遺構は残すべきだったと思われてなりません。

 しかし、キリシタンとして迫害の歴史を歩んできた長崎の人たちの心のうちでは、崩れ落ちて身代わりとなったこれらの像を目の当たりにして、人類の罪を背負い十字架につけられたキリストの姿になぞらえ、過去を清算して新たな天主堂とともに未来へ向かうことを決意させてくれたと思っているかもしれませんね、もしかしたら。

2013-1-9

カテゴリー:写真集日本の文化と歴史

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