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#229
ルポエッセイ 感じて歩く
三宮 麻由子 岩波書
三宮さんは「盲目の」エッセイストさん。光を失った三宮さんが、日頃の生活の中での出来事、感じることを綴っています。
三宮さん自ら、目が見えないことを「シーンレス」という造語を作って表現し、時々危険な目に遭いながらも、前向きに活発に行動する姿は、「目が見えない」ことへのマイナスな意識を感じさせないくらい。
目が見えなくなった子どもの頃に大変だった歩行訓練のこと、目が見えない人に向けて開発された様々なハイテク機器を積極的に試してみたり、気が抜けない鉄道利用、盲導犬と行動すること、などの話題の中に、健常者では体験出来ない様々な世界が描かれています。
健常者が何気なくとる行動が目が見えない人たちにとって恐怖に感じることがあること、普段生活している世の中の見え方、どのように手伝ってもらうと有り難いのか、などが分かりますし、これは目が見えない人たちだけではなく他の障害者の方たちへの接し方の参考にもなると思いますし、もっと言えば社会的に弱い立場の人たちとの接し方について考えさせてくれるのではないでしょうか。
この本は多くの人たちにぜひ読んで欲しいと思いました。
文は全体的に明るいタッチでところどころでクスッと笑ってしまうような小気味好いテンポで話しを進めつつも「これは言いたい」という主張もしっかりして、全体的にカラッとした清々しさを感じさせ、好感が持てます。
2013-3-21
カテゴリー:評論・エッセイ・ルポ/福祉
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