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過去の記事

#264

消されゆくチベット

渡辺 一枝 集英社


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 チベット。
 私が行きたい所の上位候補でありながら未だに行ったことのない国(あえて国、と言わせていただきます)。

 渡辺さんは、チベットには幾度も行き来し、チベット人の友人たちと親交を深めるほど親しみ深かったようです。

 解放と名目で中国に侵攻され支配されたチベットですが、渡辺さんが当初チベットに行き来する頃はチベットの独特な文化はまだまだ色濃く残っていた様子がうかがえます。

 チベット仏教の宗教観、暮らし、食べ物。
 渡辺さんが語る当時のチベットの人たちの暮らしはとても独特で、文化的にも豊かなものでした。

 しかし中国が推し進めるチベット開発の波はそんなチベットの独特の暮らしを押し潰し、変容させていきます。流入する漢民族の人たち、観光客、大きくなる差別。

 そして、2008年頃から大きくなったチベット人たちによる大規模な抗議の頃から徐々に、中国政府当局からの締め付けが厳しくなります。
 それまで続けてきた独自の文化もどんどん失われつつあります。
 しかしそれでも、細々とそんな文化を時代に合わせた形で繋いでいこうとする強かさ。

 民俗を抹殺することにも等しい、チベットの独自文化の消去と大国への同化の圧力。
 この本からはそんなチベットの人たちの悲痛な叫びが聞こえてくるようです。

 本とは関係ありませんが、2009年に上野の森美術館で「聖地チベット-ポタラ宮と天空の至宝」展という企画展を見に行きました。さまざまなチベットの財宝を観覧して館を出たとき、そこに見たのは抗議するチベット人たちでした。中国政府当局によりチベットの財宝が金稼ぎに使われていること、そして日本がそれに加担していることに対する抗議。

 知らないことの罪深さに心痛み、そして政府の都合に乗せられ騙されたような気分になったことをふと思い出しました。

2013-7-21

カテゴリー:世界の文化と歴史

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