#141
里親認定前研修、再び。
2014-8-6
約5年前、里親になる前に里親認定前研修というものを受けました。
里親になるために必要な知識を里親希望者に身につけてもらうために児童相談所が行うもので、講義と実習があります。
講義では、里親制度とはどんなものか、実際に里親になった時の子どもへの接し方、困った時の対応の仕方、などを学びます。
実習では、実際に乳児院や児童養護施設などを見学したり、一日施設で子どもたちと一緒に過ごして子どもたちの生活を直に知ってもらおう、というもの。
これらの研修を終了の後、審議会での審査を経て里親として適格と判断されれば、里親として認定・登録されます。
私たち夫婦は引っ越す前にこの研修を経て里親として登録しており、その後の里子の委託から昨年の養子縁組を経て私たちの里親経験は約3年半になります。
ですから、引っ越して他県に移った場合には登録の申請だけで済むのかと思っていましたら、何と他県に引っ越す際は引っ越し前の里親登録は引き継がれず、通常の里親希望者同様、最初から研修を受け、里親の認定を得てから改めて登録の必要があることが分かり、目が点になりました。
典型的な「縦割り行政の弊害」ってやつですね・・・県ごとの里子事情のように、引っ越してから出なければ得られない情報の説明など、必要性があることなら致し方が無いと思いますが、それ意外の「里子との接し方」なんかはもう何年も実践しているのに・・・という気もして、何となく納得がいきません。
里親の登録まで最低でもあと約1年、待たなければなりません。しかも、登録されたからといってすぐに里子が紹介される訳でもありません。おーい、その間に里親も、里子として委託できる子どもも、どんどん歳をとるんだぞー、と思いますが。
しかしこればっかりは仕方ありません。
その後、児童相談所から、里親経験者は基礎研修のみ免除しますとの連絡がありましたが、だからといって認定が早まる訳でも無し、これまでのおさらいのつもりで出てみようか、ということで基礎研修に行ってきました。
内容は、県内の児童相談所について、県が行っている様々な子育て支援について、里親制度について、里子の養育について、などなど。
県内の児童相談所や県の子育て支援は初めて聞く内容なので勉強になりましたが、里親制度や里親の養育などについては「ああ、そういえば、こんなこと昔勉強したなあ・・・」と思い出しました。
しかし、かつて私たちが里親になる前、この里親研修を受けたことが、その後里子を育てる際にとても役に立ったのも事実。
これから里親になる方たちのために、そしてそんなこれからの里親さんに育てられる里子たちのためになるような研修になることを願いつつ、どうせやるなら、すでに里親経験のある人にはもう少し違う角度の内容の講習などを認定前研修に充てて欲しいなあ・・・そんなふうに思いました。
でも、私があまり詳しく知らなかった内容もありました。
それが「一時保護」についての話。
様々な理由で一時的に保護される子どもたちがいるのだそうです。
一時保護の理由の5割が虐待。保護される期間は、一人平均20日前後。保護期間は2ヶ月を超えないこととされているそうですが、諸事情で140日保護されていた子どももいたそうです。
子どもの一時保護のための施設が児童相談所内にあり、研修の一環で見学させてもらいました。
暖かみのある木調の内装で畳敷きの部屋が6つほど。男子部屋と女子部屋に別れ、その中間にテレビや本棚などがあり自由に集まったりくつろいだりする部屋がありました。
窓は開放的で外がよく見えますが、ガラスに反射フィルムを貼っており、外から中が見えないように、また、ガラスが割れにくいようになっています。
ここに保護される子どもたちは基本的に外に出ることなく、この施設の中でほとんど過ごします。
そこでは、子どもたちの観察、生活・食事指導、教育・学習指導などが行われます。
保護される子どもたちには、文字が書けない、ほとんど勉強ができない、偏食・過食・拒食をする、すぐ病気になる、などの問題を抱えた子がおり、個別で指導や対処をするのだそうです。
一見、寮か合宿所のような感じですが、その中にちょっと異質な部屋がありました。
「気を鎮める部屋」。子どもが暴れたりした時にこの部屋に入ってもらい、気を鎮めてもらうのだそうです。
窓の無い扉が一つと、30cm四方くらいの小窓が一つあるだけで、あとはグレーの壁に囲まれた小さな部屋。
床や壁はクッション材が入っていて、殴ったり蹴ったりしても怪我をしないようになっているそうです。どんな子でもここに数十分いると気が鎮まるのだと担当の方はおっしゃってました。
最大限に子どもが過ごしやすくしたり子どもの人権に配慮した仕組みがそこにはありました。本当はこのような施設が無くなるような世の中がいいのにね、となんとも複雑な気持ちになります。
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